結局、インフルエンザ予防ってどうすればいいの?問題
インフルエンザについてご質問をいただきました。
インフルエンザに関して聞きたくてメールしました。
これから本格的なインフルエンザの時期が到来しますが、 みんな予防接種やらなんやらで予防に必死になっていると思います。
そこで疑問なんですが、「科学的に証明されたインフルエンザの予防方法」ってあるんでしょうか?
ある論文では紅茶の成分がとても良いと言われたり、またインフルエンザの予防接種には効果はないというとんでもない本も出版されています。 現在、世界的にインフルエンザの予防ってどのように研究がされているのでしょうか?
とのこと。インフルエンザワクチンについては先日にちょろっと触れたので、「詳しくは書かなくていいかなー」と思ったんですが、「インフルエンザワクチン」でググってみたら「インフルエンザワクチンは打たないで!【常識はウソだらけ】」というページがトップに来てたんで、やっぱりネタにしてみることにしました(笑)
1.そもそも効果はあるの?問題
そもそもワクチンに効果はあるの?って話ですが、これはこないだご紹介した論文にもあるとおり。かなり精度の高いレビューで「そこそこの効果はあるよ」との結論が出ております。
が、おもしろいもんで、一部では同じデータを参照しているのに「ほれ見ろ!やっぱり予防接種は無意味だ!」みたいな主張もあったりするんですよね。というのも、インフルエンザワクチンの効果って、
- 年齢が若いと効果が出にくい(赤ちゃんとかほとんど効果が出ないこともある)
- 季節によっても効果がまったく違う(10%しか効かなかった年もある)
- もともと健康な人が使うと効果がないケースもある
みたいな差があるんで、なかなか正確な効果を見極めにくいんですよ。
このあたりは一流紙でも意見がわかれるところで、BMJとかは「厳密な試験だけのデータを使うべき」って主張だし、いっぽうでネイチャーとかは「感染病みたいな問題については観察研究のデータも必要でしょ」みたいな意見(2)。実は2015年の段階でもバトルが続いております(3)。
いまのところ、そのへんをふまえたうえでCDCは「まぁ50〜60%ぐらいは予防できるでしょ」って見解(4)。WHOも「ワクチンはもっとも効果的な予防法である」と言い切っております(5)。現時点ではこれぐらいが落としどころじゃないでしょうか。
2.でも水銀とか危険な成分が入ってるんじゃないの?問題
続いてよく効くのが「インフルエンザワクチンは水銀が入ってるからヤバい!」みたいな話。ワクチンにはチメロサールって有機水銀が入ってるから、神経の障害が起きるんじゃないのか、と。
まぁ、というか10年ぐらい前からチメロサールが入ってないワクチンがガンガン出てきたんで、そもそも心配する必要がないとも言えますが(7)。
3.サプリとかハーブって効くの…?問題
質問者さんがおっしゃる「(インフルエンザに)紅茶の成分がとても良い」って説は、おそらくエキナセアのことかと思います。昔から風邪に効くハーブと言われてまして、病気の予防にお茶を飲む人も多いんですよね。
エキナセアには、風邪を治す効果は認められなかった。
ってことで、かなりバッサリですね。うーん、残念。
ちなみに、その他の栄養素でいうと、ビタミンCも風邪にの予防には効かないので、亜鉛トローチに多少の希望があるぐらい。サプリやハーブで対処していくのは難しそうですねー。
4.ワクチンのほかに何かないの?問題
そんなわけで、なんだかんだでワクチンが良いなのは間違いないわけですが、あとは非常に常識的な対策しかないかと思います。CDCによれば(9)、
- 健康的な食事
- 定期的な運動
- 手を洗う
- 鼻や目をさわらない
って感じ。なんともド正論ですが、いまところはこれが最善なんですよねー。