2017年に読んで良かった18冊の本
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/12/201718.html
例年どおり2017年に読んでよかった本をランク付けしようかと思ったんですけど、考えてみたら今年はほとんど本を読めていない!ってことに気づきました。
というのも、2017年は論文を読む仕事が激増したせいで時間がなくなりまして。おかげで90冊ぐらいしか消化してないうえに、「レヴィット ミクロ経済学」(http://amzn.to/2C6JFow)みたいな大物もほったらかし。
ってことで2017年はランキングをつけず、個人的に楽しかった本をダラーっと並べるだけにしていきます。
パレオダイエット関連
▼食と健康の一億年史
自然人類学者が世界を旅しまくって、1億年にわたって人類が何を食べてきたのかを解き明かすオモシロ本。イヌイットにはオメガ3はデメリットだったとか楽しい小ネタも満載で、ちゃんと健康になれる食生活のヒントも得られるのがいい感じ。
▼ウォークス 歩くことの精神史
猿人が二本足で歩き始めてから、どれだけ「歩くこと」がヒトの創造性や文化を生んできたかを、科学、哲学、都市論まで縦断してまとめあげた凄い本。これを読むと「とりあえず歩くぞ!」って気になります。
▼マンガ「種の起源」
かの「種の起源」をマンガで解説!というとお手軽な本みたいですけど、手際よく現代の進化論をベースにした注釈がはさまってて内容は高度。著者はハーバードを出てから物理学博士になった才人らしい。ダーウィンの原著は激しく読みにくいので、とりあえずこれを読んでおけばいいのでは。
▼The Evolution of Desire: Strategies of Human Mating
David M. Buss Basic Books 2016-12-27
名著 「女と男のだましあい―ヒトの性行動の進化」(http://amzn.to/2DJj7aJ)を改訂した最新バージョン。ネットの出会いや「男女の友情は成立するか」問題といった項目が追加されてるものの基本は変わらず、恋愛の進化心理学を学ぶ際の基本書として相変わらず有用・
メンタルヘルス関連
▼私はこうしてサバイバルした
大鬱病や統合失調症に苦しんだ人が「いかに自分はここまで生き延びたか」を語る当事者研究の本。環境に恵まれていない人の話も多くて、「うつヌケ」(http://amzn.to/2DHJQEF)を読んで「俺とは関係ない裕福な人の話ばかりだ!」という気分になった方にもオススメ。
▼つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。
プライドが高くて他人に相談できない人が、マインドフルネスとスキーマ療法を通じて立ち直っていく様子を描いた一冊。症例はフィクションなんだけど、いずれも著者が経験した実際の患者さんをモデルにしているため、現場のやり取りが非常にリアルで勉強になりました。マインドフルネスを毎日に活かすための具体例としても参考になるところが多め。
▼不安障害のためのACT
ゲオルグ・H・アイファート,ジョン・P・フォーサイス 星和書店 2012-11-20
ここ数年、不安治療の世界でかなり名をあげてきた「ACT」の解説書。ACTってのは結構フワッとした技法が多い治療法なんですが、難しい概念をズバッと説明していていろいろ腑に落ちました。臨床家向けの本ながら、いろんなワークシートが付いてるんでセルフヘルプにも使えそう。
経済学関連
▼ミクロ経済学入門の入門
基本的な需要と供給の話からナッシュ均衡まで、これだけの内容をよく200ページ以内にまとめたなー、という説明力の高さが光る一冊。数式がゼロなんで、一般的なミクロ経済学の教科書を読む前に手に取っておくと、理解が倍増しそうであります。
▼データ分析の力 因果関係に迫る思考法
「パレオダイエットの教科書」にも「朝食を食べる子供は頭がいいんじゃなくて、頭がいい子供が育つ家庭はちゃんと朝食を食べさせてるだけかも?」みたいな話を書いてますが、とかく研究の世界では因果関係の特定が難しいもの。この問題をいかに解決するかを手際よくまとめた素晴らしい本でした。「「パレオな男」の正しい読み方」に書いたような、データの信頼性を判断する方法をさくっと知りたい方にも好適。
▼まんがでわかる!ケインズの経済学
息抜きで読んだら、なにげにレベルが高くてびびった経済漫画。『雇用・利子および貨幣の一般理論』の内容がわかるだけじゃなくて、「なんでケインズ経済学が定番になったか」を腑落ちさせてくれるのがいいですねー。
ライフハック関連
▼The Power of Moments
Chip Heath,Dan Heath Transworld Digital 2017-10-05
名著「スイッチ!」(http://amzn.to/2C51sw8)で有名なハース兄弟の最新作。今回のテーマは「いかに一瞬の強烈な体験が人生を変えうるか?」で、意味のある瞬間を作り出すためのテクニックを科学的にまとめてくれるという、ありそうで無かった本。やっぱハース兄弟は凄いっすね。
▼PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間
問答無用の名著「影響力の武器」(http://amzn.to/2BvVxNd)の続編なんで、そりゃ読むよねという感じ。
▼マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力
テレサ・アマビール,スティーブン・クレイマー 英治出版 2017-01-24
冗長な部分が多いのが残念な一冊なんですけども、著者のアマビール博士が行った研究はかなり重要なので、押さえておいて損はないかと。別に管理職に向けて書かれた本じゃなくて、万人に向けて「モチベーションとは何か?生産性を上げるにはどうすればいいか?」を教えてくれる内容になっております。
▼私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む
人生を成功させるには誠実性が必要だ!ってのは当ブログでもよく書くテーマ。 本書では、そこからさらに「そういったスキルを育てるにはどうすればいいの?」って問題を扱っております。基本的には幼児教育の本なんだけど、「頭の良さ以外のライフスキルの育て方」は大人にも当てはまるんで、どんな世代にも有用かと。
教養関連
▼ラテンアメリカ文学入門 - ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで
ガルシア・マルケスが大好きなんで手にした本。かつての日本でも(ちょっとだけ)巻き起こったラテンアメリカ文学ブームが、どうやって世界に広がったかがわかって楽しいです。マルケスがただの文豪ではなくて、腕利きのマーケッターでもあったって話には激しく感心。
▼死すべき定め――死にゆく人に何ができるか
著者のガワンデさんは腕利きの外科医でありつつガンガン書籍も出していて、デュヒッグ「あなたの生産性を上げる8つのアイディア」(http://amzn.to/2kShCPu)でも「生産性が異常に高い人」の代表として上げられていた人物。そんな医師が終末医療の改善策を提案しながら、最後には「人間はどうやって死ぬべきか?」まで展開させていく泣ける一冊。
▼よくばり英作文
近ごろ、英会話力の強化のためにシャドーイングを再開しまして。ただし市販のシャドーイング本だとさすがに簡単すぎるんで、いろいろ調べた結果これに落ち着きました。例文数は418で、それぞれに日本語 → 英文の順で吹き込まれた音声付き。まだやっと70文を覚えたとこですが、かなり力は付きそうっすね。