仕事のパフォーマンスと年収をほぼ確実にアップさせる「インフォメーションブローカー」という考え方
「最高の体調」には「友人関係はかなーり大事だよー」みたいなパートがありまして、「とにかく孤独を抜け出そう!」ってところを強調してたりします。なんせ人間は社会的な動物なんで、他人とうまくやってくのが幸福への近道なんですよ。
で、近ごろおもしろかったのが、「違う世界の人をつなぐ人間になれ!」と主張する脳科学系の論文(1)であります。
これはペンシルバニア大学の実験で、「ソーシャルブレインネットワーク」について調べたものです。これは対人コミュニケーションのときに使われる脳のエリアで、人と会話したり、他人に親切にしようとするときに活性化するんですな。
実験の参加者は65人の10代で、以下のようなデザインになっております。
- まずは全員のフェイスブックのアクセス権をもらう
- 参加者が友人とどのようにつながっているかをチェック
- 参加者がコミュニケーションを取ってるとき(フェイスブックにコメントをしてるときとか)の脳をスキャン
要するにここでは、たんに「友人が多いかどうか?」だけでなくて、「どのような人間関係のネットワークを作っているか?」を問題にしてるわけですな。
その結果、研究チームは、参加者の「友人とのつながり」を以下のように視覚化しております。
これ、実は「友達の数」だけで言えばAもBもそんな変わらないんだけど、大きく違うのは「友達同士はお互いを知ってるか?」ってとこがポイントになってます。
つまり、自分の友人が「仕事のつながり」や「趣味のつながり」みたいに分かれてた場合、それぞれのクラスター同士でも交流があるのがAタイプ。逆に仕事の友人は仕事の友人だけ、趣味仲間はそのグループだけで付き合ってる場合はBタイプですね。
このAタイプのネットワークを作ってる人を、研究者は「インフォメーション・ブローカー」と呼んでたりします。異なる情報の集まりをつなげていく人のことっすね。
さて、ここでどんな結論が出たかと言いますと、
- Aタイプほどソーシャルブレインネットワークがデカい!
ってことです。そりゃあAのほうが複雑な処理をしなきゃいけないんで、当たり前ですよね。
ただ、これがなかなか侮れないメリットを持ってるのが、この実験のおもしろいポイント。というのも、過去の実験で「ソーシャルブレインネットワークがデカい人はいいことだらけ!」って結果が出てるんですよ。
具体的には2017年のペンシルバニア大学レビュー論文(2)が有名でして、ざっくり並べて行くと、
- ある問題について良い解決策を思いつくことが多い!
- 出世が早くて給料も多いことが多い!
- 友人としての評価が高いのはもちろん、仕事のパフォーマンス評価も高い!
みたいな感じ。どうやら「インフォメーションブローカー」な人ほど、人生がイージーモードになりやすいみたいなんですな。
その原因については、以下のように言われております。
インフォメーションブローカーは、ソーシャルブレインを働かせる場面が多い。違う世界のグループの考え方を、別のグループに翻訳してやらねばならないからだ。そのおかげで他人の視点をより深く理解できるようになるのだろう。
つまり、違う世界の友人を紹介する作業をくり返すうちに、自分の中に高い共感力が生まれていくんだ、と。これは納得しやすい理屈っすね。
まぁ私は「違う世界をつなぐ作業」ができるほど友人も知り合いもいないんでアレですが(笑)、チャンスがあったら実践してみようかと思います。とりあえず「人をつなぐと能力が上がる!」と思っておくと良さげ。