健康には「森林浴が最強説」を裏付けるメタ分析が出てたよー
「超ストレス解消法」には「森林浴はいいよー。科学的な証拠も多いよー」って話を書いております。くわしくは本にあたっていただければと思いますが、いまや世界規模でリサーチが進んでいて、日本が生んだ最強のストレス解消法なんですな。
でもって、近ごろはさらに「森林浴最強説」を裏付けるナイスなデータ(1)が出てまして、個人的に盛り上がりました。
これはイースト・アングリア大学の研究で、103の観察研究と40のRCTをまとめたメタ分析になっております。つまり科学的な証拠としてはかなり質が高めでよろしいのではないかと。
だいたいどんな実験が多いかと言いますと、
- 森林浴と都市部で過ごした場合のストレス度をくらべる
- 手術の後に「森林を見ながら療養した人」と「壁を見ながら療養した人」の回復期間をくらべる
- 緑地帯に住んでいる人と都市部に住んでいる人のストレスをくらべる
みたいな感じ。とにかくいろんな方法で自然の効果をチェックしております。
実験が行われたのは20カ国で、参加者の半数はヨーロッパ人。24件は日本人を対象にしております。被験者の数も多くて、森林浴研究の決定版でしょうな。
では、分析の結果を並べていきましょう。
- 森林浴をする、または緑の接触量が増えるほど……
- ストレスホルモンが減る
- 血圧が下がる
- 心疾患の発症リスクが下がる
- 心拍数も低下する
- コレステロールが下がる
- 糖尿病のリスクが下がる
- 総死亡率も下がる
- 女性の早産リスクも下がる
- 主観的な健康レベルは上がる
- 睡眠の質が上がる
って感じで、「森林浴って万能じゃない?」とか思っちゃうレベル。こりゃあ定期的に森林浴をするしかありませんな。
また、まだデータ量は少ないものの一部の研究では、
- 森林浴で癌の経過が良くなる
- アルツハイマーなどの症状が良くなる
といった結果も出てまして、これまた気になるところです。まぁストレスが癌や認知症に良くないのは確実なんで、おそらく効果はあるんだろうなーと思いますが。
こうなると「なんで森林浴がそこまでいいの」ってところも気になりましょうが、いまんところは「思い当たる原因が多すぎる」状態ではあります。よく言われるところだと、
- 身体活動が増える
- 他人とのコミュニケーションも増える
- 太陽の光を浴びやすくなる
- 公害の摂取量が減る
- 大気から良いバクテリアを吸い込める(いわゆる旧友仮説)
- 樹木から出るフィトンチッドが免疫系を強化する
ってあたりが総がかりで体に良い影響を与えてると考えられてたりします。このへんのメカニズムについては「最高の体調」でも取り扱ってますんで、合わせてご参照ください。
ちなみに、フィトンチッドについて、研究チームはこう言っております。
森林浴に関する多くの研究データは、樹木から出るフィトンチッド(坑バクテリア作用を持つ揮発性の有機化合物)で森林浴の健康効果が説明できるとしている。
ってことで、これまたかなり重要なポイントかと。フィトンチッドのすごさについては、「NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる―最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方」が非常にわかりやすく解説してますので、これまた合わせてご参照いただければと。