ストレスは心臓に悪い!では、具体的に心疾患のリスクを何倍にするのか?」という問題という観察研究の話
「最高の体調」では「ストレス怖いよー。体を壊すよー」みたいな話を書いてます。その場限りの急性ストレスなら問題ないものの、心の負担が慢性化すると一気に体調が崩れるんですよね。
具体的に起きる現象としては老化や肥満などがありますが、もひとつ怖いのが心臓にあたえるダメージです。ストレスホルモンには血管の収縮作用があるんで、長引くとダメージが全身におよんじゃうんですよ。
で、新しい研究(R)は、ストレスでどれぐらい心疾患のリスクが上がるの?ってとこを調べてくれてて、なかなか恐ろしい結論になってたりします。
これはメンタルの不調に苦しむ男女約130,000人を対象にした研究で、たとえば急性ストレス障害や適応障害、PTSDなどの問題を抱えた人だけを選んだそうな。ざっくり言えば、なんらかのトラウマのせいで慢性的な不安や抑うつに苦しめられてるような方々ですね。
でもって、この研究ではさらに被験者の親戚にも協力を依頼して、特にメンタルの不調に悩んでない約170,000人を
ピックアップ。慢性的なストレスに苦しむ被験者とくらべて、どのような違いがあるのかを調べております。
当然ながら、このデザインだと遺伝子やライフスタイルが近い者同士で比較ができるんで、かなり精度は高くなります。ストレスの悪影響を調べた調査は数多いものの、わりと最良の部類じゃないでしょうか。
では、以下に結論を。
- 慢性的なストレスに苦しんでいる人は……
- 心臓まひのリスクが1.34倍になる
- 脳卒中のリスクが1.75倍になる
- 高血圧のリスクが2.15倍になる
ってことで、これはかなりハッキリした差が出ましたね……。高血圧リスクが2倍以上ってのはツラい……。
また、この研究では症状ごとのリスクも計算してまして、
- PTSDの場合は心疾患リスクが1.48倍になる
- 適応障害の場合は心疾患リスクが1.33倍になる
- 急性ストレス障害の場合は心疾患リスクが1.27倍になる
みたいになってます。どれもリスクの大きさは似てまして、そこまでの違いは出ないみたいっすね。
ちなみに、この3つのなかだと「急性ストレス障害」が一番メジャーで、トラウマ的なイベントを体験(または目撃)したあとで起きやすくなります。おもな症状は記憶力の低下、睡眠障害、フラッシュバック、悪夢、イライラ、気分の低下などで、PTSDほど知られてないものの苦しんでいる人の数は結構多め。
今回の研究はトラウマにまつわる症状をメインに調べてますけど、ブラック企業や毒親みたいに慢性的なストレス状況でも心疾患のリスクは上がりそうなんで、逃げられるようなら逃げたほうがよかろうと思う次第です。もっと軽い状況だとTwitterでケンカばっかしてるだけでも心臓病リスクは上がるみたいですしね。
心当たりのある方はストレス環境を減らすのはもちろん、DASHやパレオなどの食事法にも気を配って射いただくと良いかと存じます。どうぞよしなに。