ビタミンDは癌に効くのか?のメタ分析が出てましたよー
というわけで、またビタミンDの話です。なんだかビタミンDの話ばかりしてるようですが、ハイペースで新しいデータが出てくるんで仕方ないんですよ。
で、今回の論文(R)は、「ビタミンDは癌に効くのか?」がテーマです。実は2015年の観察研究(R)なんかでもビタミンDが癌リスクに影響を与えるのでは?って傾向が確認されてまして、今回のデータはその最新アップデート版になります(特に大腸癌と乳癌への影響が大きいっぽい)。
ただし、ビタミンDと発癌リスクについてはよくわからないところが多くて、ヒトを対象にした過去のトライアル(R)なんかでは「意味なくない?」って報告も少なくなかったりするんですよ。悩ましいところですねぇ。
が、今回の新しい研究は過去のビタミンD研究から信頼度が高めな10件のRCTをまとめたメタ分析になってて、科学的な証拠としてのレベルはそこそこ高め。ビタミンDが癌に効くのか問題については、現時点で最良のデータだと申せましょう。
データの内訳をざっくり申し上げますと、
- 10件中5件が癌の死亡率を報告
- 8件が総死亡率を報告
- 調査期間はだいたい5〜10年
- ビタミンD3の使用量はだいたい1日400-2000 IU
みたいになってます。わりと長期間のテストが多くてよろしいのではないでしょうか。
では、分析の結果を簡単にまとめてみると、
- ビタミンDを飲んでも発癌率には影響がなかった!(相対リスク0.98、95%CI0.93-1.03)
- が、癌にかかった人の死亡率は、プラシーボに比べて13%ほど下がる!(相対リスク0.87、95%CI0.79-0.96)
みたいになってます。つまり、ビタミンDを飲んでも癌の予防にはならないんだけど、癌治療のサポートには使えるんじゃないか、と。
ちなみに、今回の結果は2014年に出た観察研究のメタ分析(R)とも呼応してまして、こちらをざっくりまとめると、
- 癌と診断された人が血中のビタミンDレベルが高かった場合、早期の死亡率が低くなる
って感じになってまして、やはりビタミンDにはなんらかの作用がありそう。さらに直近のメタ分析などを見ても(R)、ビタミンDは全死亡率の低下と相関がある!って結論ですしね(まぁ単に血中のビタミンDレベルが健康の指標になってるだけって話もありますが)。