ビタミンCが血糖値のコントロールに役立つかも?という実験の話
「ビタミンCが血糖値の管理に役立つかも?」という目新しい研究(R)が出てたんでメモ。
これはディーキン大学などの実験で、二型糖尿病に悩む31人の男女を対象にしております(年齢は平均61.8歳)。実験はランダム化のクロスオーバーで、
- 1日500mgのビタミンCを4ヶ月ほど続ける
- 1日500mgの偽薬を4ヶ月ほど続ける(偽薬の中身はゼラチンとか)
っていう2パターンの介入を全員が交互に実践したそうな。そこで主に何を調べたのかと言いますと、
- iAUC(時間経過にともなう血糖値増加量。この数値が低いと、糖質の吸収が抑えられたと考えられる)
- 1日のうちに血糖値が>10 mmol/Lだった時間の長さ
という2つの指標を使ってます、糖尿病の人はもともと体内のビタミンCレベルが低いって話があるんですけど、ならばサプリで症状が改善できるのではないか?ってことですね。ちなみに、実験時の食事は統一されてて、糖質55%、脂質25%、タンパク質20%って割合になっております。
そこでどんな違いが出たのかと言いますと、
- ビタミンCを飲んだ場合は……
- iAUCが36%改善!(プラシーボ群に比べて)
- 高血糖の時間が29%も改善!
だったそうで、なかなかの数値を出してるわけですが、わざわざ「プラセボ群に比べて」の部分に下線を引いたのは、偽薬を飲んだグループが異様に血糖値が悪化してるんですよね。
具体的には、プラシーボのグループは介入の後にiAUCが15%も高くなってるし、高血糖の時間にいたっては85%も長くなってたりします。偽薬に入ってたのはおもにゼラチンと炭酸カルシウムなんですけど、この2つが血糖値を悪化させるって話は聞かないしなぁ……という。ここらへんは研究チームも「なんでだろう……」と不思議がってまして、謎としか言いようがない感じ。
また、ビタミンCで血糖値が改善した理由としましては、
食後の血糖値が改善するメカニズムはよくわからないが、先行研究を参考にする限り、おそらくはインスリンを介した周辺組織へのブドウ糖処理量が上がったからだろう。
とのこと。要するに、ビタミンCのおかげでブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなり、結果として血糖値が改善したのではないか?って仮説ですね。
まぁこの実験にはあいまいなとこが多いんで、今回のデータだけで「血糖管理にはビタミンCだ!」とは言いづらいとこではあります。試してみたい方は、くれぐれも専門医にご相談ください。