スマホとかゲームで勉強の成績って下がるの?を調べたメタ分析のお話
デジタルデバイスってどうよ?人間を幸せにしてるの?って問題はまだ議論が残るところで、スマホは幸福度を上げてくれる!みたいなデータがあったかと思えば、スマホが不幸の原因に!みたいなデータもありまして、これといった結論がイマイチ出しづらいのが現況ではないかと。
で、新しいデータ(R)も電子機器の影響に関する話でして、「スクリーンタイムは学問の成績に影響を与えるの?」って問題をあつかっております。まずは研究チームの問題意識から紹介しますと、
電子機器の過度な使用がもたらす健康リスクは、少しずつ認識されつつある。しかし、電子機器の使用量が学習におよぼす影響についてはまだ解明されていなかった。
といった感じです。テレビやスマホを使うことが多い人は、勉強ができなくなっちゃうんじゃないの?って観点ですね。スマホばっか触ってたら成績が下がるのが当たり前な気もしますけど、果たしてこの感覚は正しいのか、と。
ということでチームは過去のデータから30件を抜き出して、およそ106,000人の子供(4〜18歳)を観察した調査を精査したメタ分析になっております。ここで俎上に上がったメディアの形態は、
- PC
- スマホ
- テレビ
- テレビゲーム
などでして、これらの電子機器の使用時間の量と学業成績の関係性をチェック。標準化されたテストの結果などとくらべたんだそうな。横断研究がメインなんでメタ分析としてはやや信頼性が低いんですけど、あんま類例がないデータなのでよろしいのではないでしょうか。
さて、それでどんな結果が出たのかと言いますと、まずは大きな結論から。
- 全体的なスクリーンタイムの長さは、子供たちの学業成績とは相関していなかった!(効果量 –0.29; 95% CI, –0.65 to 0.08)
だったそうです。意外なことにスマホの視聴時間がどれだけ長くなっても、学業成績が下がることはなかったらしい。ちょい驚きの結果ですねー。
ただし、さらに細かくデータを見てみると、「メディアによって成績への影響が変わるよー」って傾向も出てまして、
- テレビの視聴時間が多い人はテストの成績が低かった (効果量 = –0.19; 95% CI, –0.29 to –0.09)
- テレビの視聴時間は、さらに言語力と数学のスコアの低下とも相関があった (効果量 = –0.25; 95% CI, –0.33 to –0.16)
- テレビゲームのプレイ時間は、10代の子供にかぎりテスト成績の低下と相関があった (効果量 = –0.16; 95% CI, –0.24 and –0.09)
みたいになってます。全体的に見ればスクリーンタイムの悪影響はないものの、テレビとゲームには問題があるかも?ぐらいの結論ですね。まぁスマホとPCは勉強にも使えるんで、このような結果が出るのも納得ではないかと。
ってことで、とりあえずテレビとゲームには気をつけよう!ってのが暫定的な結論になりそうですけど、とりあえず今回のデータについては以下の欠点も押さえておきたいところです。
- 1958年〜2018年までのデータを使ってるんで、スクリーンの利用状況がだいぶ変わってそうな気がする
- 横断研究ベースなので因果関係はハッキリしない
ここらへんをふまえたうえで、スクリーンタイムとの付き合い方を考えていただければと思う次第です。