ミカンに豊富な成分「ヘスペリジン」で傷みまくった肝臓が改善するかもよ!という実験のお話
シトラス系のフルーツはいかにも体に良い印象がありますが、その原因のひとつとしてよく言われるのがヘスペリジンの存在であります。
これはミカンやグレープフルーツにふくまれるポリフェノールの一種で、とにかく抗酸化作用が高いのがウリ。過去の動物実験(R)では脂肪肝にも効果があるんじゃない?なんて結果も出てまして、かなりよさげなんですよ。
で、新しいデータ(R)は「ヘスペリジンは非アルコール性の脂肪肝に効くの?」ってところをヒトを対象に調べてくれてて、なかなかいい感じでした。ご存じのとおり非アルコール性脂肪性肝炎ってのは、酒を特に飲んでないのに肝臓に脂肪がたまっちゃうことで、この状態が進むと最後は取り返しがつかない状態になっちゃうんですよ。
非アルコール性脂肪性肝の原因はいろいろありますが、ストレスや肥満、運動不足で引き起こされるケースが多くて、私と同じぐらいの年代の人にはかなり増えてくる印象であります。いったん肝硬変になっちゃうと本当にマズいんで、これはぜひなんとかしておきたいところなんですよね。
さて、ここで紹介する実験は非アルコール性脂肪性肝に悩む50人の男女(18〜70歳)を対象にしたRCTで、肝臓に炎症が起きまくっている人だけを選んだんだそうな(NAFLDのステージ2か3)。でもって全員を2つのグループに分けまして、
- 1日1,000mgのヘスペリジンを飲む(500mgのタブレットを2回)
- プラシーボ用のタブレットを飲む
といった感じで12週間の経過をみたらしい。そのうえで肝臓の状態や脂質プロファイル、炎症マーカーなどをチェックしたところ、こんな結果になりました。
- どちらも非アルコール性脂肪性肝のスコアが減少していたが、ヘスペリジングループの数値があきらかに良かった(-51.27 vs. -31.0)
- ついでに、ヘスペリジングループは、ALTやGGTといった肝臓まわりの数値が改善し、TNF-alphaなどの炎症マーカーもよくなっていた
- さらに、ヘスペリジングループは、中性脂肪、コレステロールなどの数値も改善していた(プラシーボ群には改善なし)
- 空腹時血糖値、インスリン、HOMA-IRなどの数値には両グループで差はなかった
ってことで、全体的に「ヘスペリジンいいんじゃないの?」と思わせる結果になってますねー。ALTやGGT、中性脂肪が改善してるあたりは、酒飲みの人にも使えそうな雰囲気がただよってますし。
ただし、この結果については考慮すべき点がありまして、
- すべての参加者が、実験中に健康的な食事を心がけていたせいで、期間中の摂取カロリーが減っている)
ってあたりは注意が必要かもしれません。上述のとおり肥満は非アルコール性脂肪性肝の主要な原因ですんで、カロリー制限が効いている可能性もそこそこはありそうなんですよね(実際、参加者はみんな1日300〜350kcalぐらい減っている)。まぁなんとなくの感触としては、300〜350kcalぐらいのカロリー減でこれほど数値が改善するとは思いづらいんで、おそらくヘスペリジンの作用は割と高いような気もしておりますが。
そんなわけで、肝臓の数値にお悩みの方は、ヘスペリジンのサプリなどを1日1,000mg試していただくのもアリかもしれません。個人的にも、今回のデータをみてやや気になる存在になってまいりました。