ネットで完結する「不眠の改善プログラム」の効果が結構高そうな件について
認知行動療法が不眠に効く!ってのは有名な話。認知行動療法がなにかと申しますと、自分の考え方のゆがみに気づいて、それを少しずつ正していく方法…みたいになります。とにかくメンタルの改善についてはデータが豊富でして、個人的にも広くオススメしております。
そもそも「眠れない…」って人は不安がジャマして熟睡できないケースが多いんで、不安の減少効果に定評がある認知行動療法が効くのも当然ではないかという気がしてくるわけです。
でもって、さらに近年で注目されてるのがインターネットを使った認知行動療法(dCBT-I)であります。通常の認知行動療法がカウンセラーとの対面で行われるのに対し、dCBT-Iはネット上のバーチャルカウンセラーとのやり取りだけで介入を行って行くんですよ。
「それで効果あるの?」と思われるかもですが、認知行動療法ってのはカッチリ組み立てられたツールの集合体なんで、決められた手順を地道にこなしていくだけでも効果が得やすいんすよね。つまり、そこまで属人的じゃないのが認知行動療法の魅力でして、バーチャルでも十分に意味があるんですな。
といったところで新たなデータ(R)は、「dCBT-Iはどれだけ効果あるの?」ってとこを調べてくれていていい感じです。
これは不眠症と診断された18~65歳の1,385人を対象にした研究で、全体を2つのグループに分けてます。
- dCBT-Iを週に1回ずつ行う
- 「グッスリ寝るにはどうすればいいの?」ってのを教えるセッションを週に1回ずつ行う(コントロール群)
ここでdCBT-Iの検証に使われたのは「Sleepio™」ってプログラムで、アニメのカウンセラーが1週間ごとに特定のテクニックを教えてくれるような内容になってます。試しに登録してみたところ、
- 教育系の介入(「多くの人は将来への不安や悩みが原因で眠れないことが多いよー」みたいな話を教える)
といったあたりを簡単に教えてくれる内容になってて、「これは質が高い!」という印象でした。せっかく登録したのでしばらく使ってみようかと思います。
で、今回の実験は6週間の介入になっていて、それから12ヶ月後までの経過をみたそうな。その結果としては、
- dCBT-Iをやったグループは、コントロール群にくらべて不眠の寛解率が有意に高かった(14% vs. 54%)
- dCBT-Iの効果は12ヶ月後まで持続していた(17% vs. 47%)
だったそうで、これはなかなか良い成果ではないでしょうか。いちおうこの研究の弱点もメモしておくと、
- 不眠の改善が自己申告ベースなんで、ちょい信頼性は落ちる
- 参加者は女性がかなり多いので、男性には当てはまらない可能性もある
といったあたりは注意しておきたいところです。ただ、過去の研究とかをみててもネットベースの認知行動療法が不眠に効く可能性は高いと思われますので、気になる方は「Sleepio™」を試してみちゃいかがかと思います(英語オンリーなので、日本語版が欲しいとこですけど)。