筋トレで「あと何回ダンベルを上げ下げできるだろう?」と正しく判断する方法は何がベスト?を調べた研究の話
筋トレで大事なことといえば、「自分はいまどれぐらい疲れているのか?」を正しく把握することであります。まだ余力があるのにダンベルの上げ下げをやめちゃったら効率よく筋肉が育たないし、もうだめだ!ってギリギリまで追い込んじゃったら回復が追いつかず、やっぱり悪影響が出ちゃいますからね。
特に近年では「筋肉は追い込まずに適度なところで止めるほうがいいのでは?」って考え方もありますんで、自分の体にどこまで余力があるかを理解しておくのは重要なポイントだと申せましょう。
で、いまんとこ「適度な運動ができているか?」を判断する方法として有名なのは、
- RPEスケールを使う:自分の主観で筋トレの疲労感を判断する方法
- スピードで判断する:筋トレの動きがどれぐらい遅くなったかで判断する方法
の2つでしょう。どちらもそこそこ正しく自分の疲れを判断できると考えられてますが、一般に正確性が高いと言われてるのはスピードで判断する手法です。わりと新しい手法ではありますが、人間の疲れは筋トレの速度に反映されやすい傾向があるみたいなんで。
ってことで、新しい研究(R)は「RPEとスピードはどちらが使えるの?」ってとこを調べていておもしろいです。かなりマニアックな研究ですけど(笑)、まじめに筋トレをしている人にほど参考になるんじゃないかと。
これは7人の筋トレ好きを対象にした研究で、まずは全員のベンチプレス1RMを計測したあと、以下のようなテストを行なってます。
- ベンチプレスをしつつ1〜10点で自分のRPEを採点
- 同じようにベンチプレスをしつつ速度の減り方を計測
- 2つの手法を使って、どれぐらい2つの判断方が相関してるかをみる
まぁ実際にはかなり複雑なデザインになってるんですけど、単純するとこんな感じです。ベンチプレスで2つの判断法を使って、RPEと速度計測の結果がどれぐらい似通っているかを調べたわけですね。
ってことで、どんな結果が出たのかと言いますと、
- RPE (r2 = 0.89) と速度の変化(r2 = 0.91)は、実際のレップ数(ベンチプレスができた回数)とかなり相関していた
だったそうな。要するに、主観で「もうかなり疲れたなー」と思った時は、重りの上げ下げスピードも同じような感じで下がっていたってことです。
さらにもうひとつ大事なポイントとしては、
- RPEと速度の変化のどちらとも、同じぐらいの精度で残りのレップ数を予測できた!(RPEの推定標準誤差は9.24%、速度の推定標準誤差は8.52%)
って傾向も報告されております。つまり、RPEで「あと2回ぐらいできそうだな……」と思ったら実際にあと2回のベンチプレスができるし、その正確さは速度の変化とほぼ同じなんだ、と。もっとも、筋トレで追い込みたい人にとっては速度の変化のほうが正確さは高いみたいですが、なにせ一般の筋トレ好きが速度の変化を測るのはムズいんで、とりあえずRPEを使っとけば良さそうっすね。
具体的なRPEの使い方については、
などにまとめてますので、よろしくご活用くださいー。