睡眠改善お役立ちデータ集:瞑想アプリの効果、呼吸アプリと音楽の効果、サンソウニンは不眠に効く?
「過去に類似の話を紹介したけど、さらに追試で効果が確認されたので無視するのももったいないケース」をまとめて取り上げてみる」シリーズです。今回もまた「睡眠の改善に役立ちそうなデータ」を3つほど、ざっくりとまとめてお送りしまーす。
瞑想アプリで睡眠は改善できるのか?問題
「Calm - 瞑想・安眠・リラクゼーション」っていう定番の瞑想アプリがございますな。海外では長らくトップクラスの瞑想サービスとしてヒットしてて、近ごろやっと日本向けコンテンツの公開も始まりまして、私もちょっと気になってるところです。
で、新しいデータ(R)では、「Calmで睡眠障害は改善するか?」って問題を調べてくれててよかったです。一般的な瞑想研究って、専門のトレーナーがついてるケースがほとんどですからね。
この研究では、睡眠障害に悩む263人を集めて、
- 全体の半分に「Calm」で1日10分以上の瞑想トレーニングをしてもらう
- 残りの半分はなにもしない
って2グループにわけて8週間後の違いをチェックしたんだそうな。結果、アプリで瞑想したグループは、
- 日中の疲労、昼間の眠気、眠りに入る前の覚醒感が大きく減った!
- 同時に、睡眠の質が大きく改善し、より早く眠りにつき、より長く眠ることができるようになった!
みたいな変化が出たようで、「アプリのガイドトレーニングでも瞑想の効果は得られるんだなー」って印象を持ちましたね。他に例がない研究なんで、もうちょい追試の結果を見てみたいですけど、睡眠にお悩みの方は試してみてもいいんじゃないでしょうか。
呼吸アプリで音楽で睡眠は改善するか?
呼吸法と音楽がリラックスに効くのは有名な話で、それならば、どちらも睡眠の改善に役立つだろうと推測されるわけです。ってことで、新しいデータ(R)は両者が睡眠の改善にどれだけ役立つかを調べてくれておりました。
このRCTでどんな割り付けをしたかと言いますと、
- 10人の参加者に「The Breathing App」って呼吸トレーニングアプリを使ってもらい、就寝前にゆっくりとした呼吸を行うように指示する。と同時に、なんの呼吸トレーニングもしないグループも作る
- 別の10人の参加者にマックス・リヒターのアルバム「Sleep」の音源をわたし、就寝前に1〜3曲目までを聞くように指示する。と同時に、なんの音楽も聞かないグループも作る
みたいになってます(参加者は割と健康的な睡眠パターンを持っている人たち)。その上で、連続2日間の成果をチェックしたら、
- どちらのグループも、睡眠ポリソムノグラフィーによって測定された睡眠の質が改善した。ただし、その効果は小さすぎて、現実にどれぐらいの効果があるかまではよくわからなかった
- どちらのグループも、主観的な睡眠の質は改善されなかった
って感じだったそうな。上の瞑想アプリでは結構な改善が見られたのに、音楽と呼吸だとそこまでの変化が見られなかったみたいっすね(参加者の条件が違うってのあるでしょうが)。そう考えると、やっぱ瞑想みたいに積極的に認知を使うような作業の方が睡眠には効くのかもですねー。
サンソウニンは不眠に効くか?
サンソウニンってのは漢方の世界で伝統的に使われる植物で、日本でも睡眠やイライラ対策に役立つ漢方薬として売られてたりしますね。といっても、いまんとこは限られた予備研究があるぐらいで、いちおうサンソウニンの種子がGABA経路に働いて神経の興奮を調節するのかも?と言われてるぐらい。その実力はまだまだ謎なんですよね。
ってことで新しいデータ(R)は、「サンソウニンって不眠に効く?」って問題をチェックしてくれておりました。
これは二重盲検クロスオーバー試験で、不眠症に悩む成人12人を集めて、1日2gのサンソウニンかプラセボカプセルのどちらかを4週間ずつ摂取したそうな(ウォッシュアウト期間は4週間)。サンソウニンの1gあたりの有効成分は、ジュジュボシドA(0.113mg)、ジュジュジュボシドB(0.124mg)、スピノシン(0.306mg)、マグノフロリン(0.860mg)だったとのこと。
で、みんなの睡眠レベルを測定したところ、
- サンソウニンは睡眠の質を改善した(Pittsburgh Sleep Quality Indexを使用)
- それ以外のポイント(生活の質、寝付きの良さ、睡眠効率、睡眠時間など)については、目立った違いは確認されなかった
って結果だったらしい。全体的には「これって検出力が足りてなくない?」って印象の試験なんですけど、「もしかしたら睡眠の改善に効くかも?」とは思いましたね。まぁまだデータ不足感はいなめないので、睡眠の改善にサンソウニンを使おう!とまでは言わないですが……。