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今週末の小ネタ:コーヒーで長生き、体罰ヤバすぎ問題、新型コロナとサイコパス

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

コーヒー、やっぱ長生きに役立つかも

コーヒーは健康飲料だ!って考え方が優勢な昨今、新しい研究(R)でもコーヒーで長生きするかもだ!って結論になってました。もともとコーヒーにはカフェインだけでなく、多くのポリフェノール(ジテルペン類やクロロゲン酸類など)がふくまれてるんで、総死亡率に影響する可能性が高いんですよね。

 


ってことで、この研究では、スペインの成人1,567人を対象に、

 

  • 18年間でどれぐらいコーヒーを飲んだか?

  • 総死亡率、心血管の病気による死亡率、がんの死亡率はどれぐらいか?

 

ってとこを調べたんだそうな(参加者は、コーヒーを飲まない人、1日1杯以下だけ飲む人、1日1杯以上は飲む人の3グループに分類)。その結果は、以下のとおりであります。

 

  • 18年間に317人が死亡し、そのうち115人が心血管疾患、82人が癌だった

  • コーヒーを飲まない場合と比べて、1日1杯以下では総死亡リスクが27%下がり、1日1杯以上では総死亡リスクが44%下がり、がん死亡リスクが59%下がった


  • コーヒーと心血管の病気にとる死亡率との関連は認められなかった

  • コーヒーを飲まない場合と比べて、カフェイン入りのコーヒーは、総死亡リスクの低下と関連していた(12年後に-34%、18年後に-41%)。カフェインレスのコーヒーには関連性が認められなかった

 


という感じでして、まぁ「コーヒーを飲む人は長生き」ってメタ分析は過去にも多かったので、「また有望なデータが増えたか!」みたいな印象ですね。ただし、この研究は、わりと地中海式の食事を守っているケースが多いエリアで効果が認められたあたりが面白いポイントでして、「健康な食事をしてる人にもコーヒーは効くのでは?」って可能性が出てきたわけですね。

 


もっとも、コーヒーが死亡率を下げるメカニズムはよくわからないので、まだまだ研究は必要ながら、やはり今後もコーヒーは飲んでいきたいなーと思うわけです。

 

 

 

子供時代の体罰は大人になっても尾を引くぞ

体罰にはメリットなし!子供の反社会的な行動を増やす!みたいなメタ分析が以前にありましたが、新たな分析では「子供時代に体罰を受けた人は成長して精神の問題とIQの低下を起こす!」みたいな結論になってて、さらに怖さ倍増でありました(R)。体罰が当然の家庭で育った私としては、なんか気持ちが落ち込みましたが……。

 

 

これはロンドン大学が行ったナラティブレビューで、体罰のメリットとデメリットについて調べた過去の69件のデータをまとめたもの。メタ分析は行われてないものの、その知見は参考になりましょう。

 

 

で、結論をざっくりまとめると、こんな感じです。

 

  • 子供をいくら叩いても、悪い行動は防げない!(これは従来の結論と同じ)
  • というか、親が体罰をすればするほど、その結果として子供の行動は悪化する!(これも従来の結論と同じ)

  • 子供の頃に親から叩かれると、大人になってからIQが低下する可能性がある
  • 子供の頃に親から叩かれた人は、大人になってから気分が沈み、お酒を飲み過ぎたり、違法薬物を使用したり、自殺未遂をする可能性が高い

 

ってことで、体罰は子供に悪影響どころか、大人になってからも悪影響を及ぼすという恐ろしい結果になっております。

 

 

研究チームいわく、

 

体罰が子どもにとって良いという証拠はない。すべての証拠は、体罰が子どもの発達と幸福に有害であることを示しています。

 

とのことで、もはや体罰って公衆衛生の問題じゃないの?みたいな指摘がされておりました。ホント、昭和の頃は親も教師もガンガン叩いてましたからねぇ……(オヤジ語り)。

 

 

 

サイコパスの特徴とか?

サイコパスの特徴といえば、

 

 

みたいな点があることは今までもお伝えしてきたとおりです。とにかくサイコパスには、特有の行動や能力の偏りがあるんですよね。

 

 

でもって、サン・フランシスコ大学などの新しい研究(R)では、新型コロナ下におけるサイコパス特有の行動を扱っていておもしろかったです。どんな調査だったかと言いますと、

 

  1. 18歳から79歳までの男女893人を集め、さまざまなSNS(FacebookやWhatsApp)を通じてアンケートを実施


  2. サイコパス特性と共感性の標準的な尺度を使って、みんなのサイコパスレベルをチェックする
  3. さらに、みんなに新型コロナの対策ガイドラインを守ったかも尋ねる(手洗いとか、ソーシャルディスタンスとか、マスクの使用とか)

 

って感じで、サイコパス度と新型コロナ下での行動をチェックしてます。サイコパス尺度には、冷淡さ、欺瞞性、誇大性、衝動性、無責任性などを調べて、新型コロナと相関があるかを見たらしい。

 

 

すると、やっぱりサイコパス度と新型コロナ下の行動には関係がありまして、

 

  • サイコパス度が高い人(女性全体の7%、男性全体の12%)は、男女を問わずマスクをするケースが少なかった
  • ついでに、ソーシャルディスタンスを取る傾向も低かった
  • ただし、サイコパス度が高くても、ちゃんと手は洗う傾向があった

 

ということで、サイコパスはマスクとソーシャルディスタンスに問題があったらしい。言われてみれば、そういうタイプの人っている気がしますね。

 

 

こういった傾向が見られた理由について研究チームは、サイコパスは「なんとなく他人に伝染させるのは構わないけど、自分の身は守りたいなぁ……」と思ってるからでは?みたいな推測をしておられました。サイコパスの身勝手な思考が、マスクはしないけど手は洗う!って行動を取らせるんじゃないか、と。んー、確かにあるかも。

 

 

もちろん、マスクをしてないからサイコパスだ!とは言えないものの、あくまで可能性としてはあるかなーぐらいに受け取っておくと良さげなデータっすね。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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