赤ワインで悪酔いする!人の原因がわかったかもしれない件
「赤ワインで頭痛が起きる!」って悩みはよく聞く話であります。ビールや焼酎では何も起きないのに、赤ワインだと、飲んでから30分〜3時間ぐらいで頭痛が起きちゃうような人は少なくないんですよ。
かく言う私も、赤ワインでは割と頭が痛くなるタイプでして、「なんでだろうなー」とか思っておりました。2008年のレビュー論文(R)によると、研究に参加した人たちの約3分の1が「酒で頭痛になった!」と報告してまして、理由はどうあれ、赤ワインが最もポピュラーな頭痛誘発物質なのは間違いないでしょう。
その原因には諸説ありまして、
- ワインの保存料として入っている亜硫酸塩が頭痛を起こす説:割と一般的な考え方だが、亜硫酸塩の含有量は赤ワインよりも甘口の白ワインの方が多いので、いまいち信じづらい。もちろん、亜硫酸塩にアレルギーを持つ人もいるので、その場合は避けるべき。
- ワインに入ってるヒスタミンが悪いのだ説:ヒスタミンは、白ワインやロゼよりも赤ワインに多く含まれる成分。ヒスタミンは体内の血管を拡張させやすく、これが頭痛の引き金になるかもしれない。ただし、これも絶対的な証拠はない。
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フェノール類、生体アミン、タンニンなどのせいだ説:フェノール類は、ワインの味、感触、色に寄与する化学化合物で、白ワインよりも赤ワインに多く含まれるため、頭痛の犯人にされやすい。ただし、これらの物質が頭痛を引き起こすメカニズムは誰も解明できていないし、フェノール類を多く含む他の食品は頭痛を引き起こさない。
って感じでして、決定打はまだ出ていなかったりします。
そんな状況ですが、最近の研究(R)では、「赤ワイン頭痛の原因はこれだ!」って結論を出してくれていてナイスでした。これはカリフォルニア大学などのチームが行った調査で、結論から言ってしまうと、
- ケルセチンが赤ワイン頭痛の原因かも!
みたいになります。このブログをお読みの方ならご存じのとおり、ケルセチンはタマネギなどに多いフラボノイドの一種で、体に良いと言われる成分のひとつ。
一説には、体の炎症を減らしてくれるとか、腸内環境の改善に効くとか、いろいろなメリットが指摘されてたりします。個人的には「サプリメントとしても有望だよなー」と思ってまして、もうちょいデータが出てきたらサプリを常用するかも?ぐらいのレベルっすね。
ところが、このケルセチンは、酒飲みには悪さをする可能性がありまして、単体では問題を起こさないんだけど、アルコールと混ざると、アセトアルデヒドって毒素の代謝に影響を与える可能性があるんだそうな。
アセトアルデヒドは、体内でアルコールが変換されて生まれる物質で、全身の細胞に炎症を引き起こすんですよ。ここで体内のケルセチン量が多いと、アセトアルデヒドのレベルも高くなりまして、そのせいで頭痛が起きちゃう確率が上がるってことらしい。まぁ、この研究は試験管で行われたものなので、実際のワインでも同じことが起きるのかは謎ですけど、あり得そうな話ではありますな。
では、この知見を使って、赤ワインの頭痛を防ぐにはどうすれば良いのかと言いますと、
- 安い赤ワインを飲もうぜ!
ってことになるっぽい。なんでも、赤ブドウってのは、日光に当たるとケルセチンを多く作るため、日照量をちゃんと管理している高級ワインのほうが、ケルセチンが豊富にふくまれる確率が高いらしい。
一方で、低品質のワインは、ブドウの木が大きいブドウ園で栽培されるため、それぞれのブドウに十分な日光が当たらないのがポイント。そのせいでケルセチン量が少なくなるので、おのずと頭痛の発生率も下がるのではないか、と。うーん、悩ましい。
が、それにも関わらず、「安いワインほど悪酔いする」みたいな話をよく聞くのが謎ですが、これについては安価なワインほど複数の添加物が入っているのが一因なのかも知れません。なかなか判断が難しいですな。
そう考えると、
- 赤ワインを飲んで30分〜3時間で頭痛が起きるような人は、ケルセチンが少ない安いワインを飲んだほうが良いかも。
- 赤ワインを飲んだ翌日に頭痛が起きるような人は、添加物が少ない高いワインを飲んだほうが良いかも。
ってことになるのかなぁ……って感じがしますな。とりあえず、自分が何に弱い体質なのかを調べるために、ケルセチンのサプリと焼酎を組みあわせて試してみるか……(みなさんはまねしないでください)。