【質問】顔のマッサージとか顔ヨガって、若返りに効果がありますか？
こんなご質問をいただきました。
顔のマッサージとか、顔のヨガみたいなやつって、意味がありますか？ 動画サイトとかで、あごを思い切り上げたり、舌を口の上に押し付けたり、唇を突き出したりする動きをすれば顔が引き締まると言ってるのをよく見ます。
とのことで、フェイスマッサージや顔ヨガには意味があるの？ 顔のマッサージや、顔の筋肉を動かすエクササイズによって、顔のラインが引き締まったり、シワが減ったり、たるみが改善したりといった効果を得られるのかってことですね。
この疑問は割と定期的に尋ねられるんですが、まずは結論からお伝えしておくと、
- 個人的にはやらない。というか、積極的にやらないほうが良いと思っている。
- ただし、顔マッサージや顔ヨガに効果があることを示したデータもなくはないので、全否定したいわけでもない。
みたいになります。いまのところ、顔のエクササイズの効果を示した厳密な調査はゼロだし、効果を示した研究も割と疑わしいので、どうにも支持しづらいんですよ。
いちおう、顔ヨガやフェイスマッサージに有利なデータ(R)は1つだけありまして、この研究では、40歳から65歳までの女性27人を集め、1日30分の顔エクササイズを8週間行い、その後1日おきに合計20週間ほど続けてもらったんだそうな。
その上で、第三者の皮膚科医に参加者の写真を評価させたところ、顔のエクササイズをしたグループは頬のふくらみが改善し、見た目の年齢が3歳ほど若くなったらしい。また、実験が終わった時には、すべての参加者が、自分自身の「見た目が改善した！」と感じていたそうで、これはなかなかの結果ですな。
ただし、この研究には明らかな限界がありまして、
- 登録された27人の参加者のうち、11人が研究を完了する前に脱落した（プログラムが1日30分もあるので、みんな続けられなかったらしい）。
- 全体的に研究の規模が小さいので、他の集団に応用できるのかはまったくわからない。
- 対照群（つまり、顔のエクササイズをしない参加者）がいなかったので、この実験結果は偶然に起こった可能性がめっちゃある。
といったあたりは、気をつけておきたいところです。これだけで顔のマッサージや顔ヨガの効果を信じるのは、ちょっと危険じゃないでしょうか。
では、私がなんで顔のマッサージや顔ヨガに否定的なのかと言いますと、
- 顔には44の筋肉があるが、そのほとんどは細くて指の先よりも小さいので、シワを減らしたり、たるみが改善するレベルで顔の筋肉を成長させるには、かなりのエクササイズが必要だと思われる。
- しかし、基本的にシワは筋肉があるところにでき、笑いジワも、カラスの足跡も、額のシワも、すべて顔の筋肉を使うことで発生する。それにも関わらず、マッサージや顔ヨガで、おでこを上げ続けたり、口角を上げまくっていたら、逆にシワができかねない。
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骨とは異なり皮膚は弾力性があり、抵抗力はほとんどない。そのため、顔の筋肉を鍛えると皮膚が引っ張られ、引き締まるどころか伸びてしまう確率のほうが高いと思われる。実際、ボトックスとかだって、筋肉を麻痺させることでシワを防ぐわけだし。
という感じになります。おそらく、顔のマッサージや顔ヨガは、シワの量を増やすだけで終わる可能性のほうが高いのではないかと。個人的にはやろうとは思わないですね。
まぁ、くり返しになりますが、個人的には、これらのエクササイズを完全に否定しているわけじゃありません。顔のマッサージや顔ヨガの多くは、筋肉を鍛えるよりもシワを作らないように顔の緊張をほぐすことに重点を置いているし、顔の血行が促進する効果ならそこそこあるような気もしますし。
また、リンパ液がたまってるせいで顔がむくんでいるような人であれば、余分な液体が排出されて、一時的に顔が小さくなったような気分も味わえるかもしれません（大したメリットだとも思えませんが）。
そんなわけで、いろいろ書いてきましたけども、私としては「どっちかと言えばやらないほうがいいんじゃないかなー」ってのが結論。若々しい外見を保つためには、事後的に修正することを考えるよりも、普段から日焼け止めと保湿で予防するほうがよほど重要なんですよね。めっちゃ退屈な結論ですが、他にすべきことがないんだからしょうがないっすねー。
