読んだ本の内容を記憶に残す「ウェイクフルレスト」テクニック
本を読んでも忘れちゃう問題
「本を読んでも内容が頭に残らない!」みたいなお悩みをよく聞くわけです。かくいう私も読んだ端から内容を忘れていくんで、もはやあきらめて「1%ぐらい残ればいいや」ぐらいの状態。
とか思ってたら「本の内容を頭に残りやすくする方法」について調べた論文(1)がおもしろかったんでメモしときます。
ウェイクフルレストの効果を調べた
これはエジンバラ大学の実験で、61〜87才の男女33人が対象。まずはみんなに短い小説を2本ほど読んでもらって、そのうえで全体を2つのグループにわけたんですな。
- ウェイクフルレスト
- 本と関係ないゲームで遊ぶ
ウェイクフルレストってのは、要は「なにもしないでボーッとする」ことです。この実験では、暗い部屋で10分ほど目をつぶってもらったそうで、そのあいだは本の内容について再確認してもよし、関係ない空想をするもよし、今日の予定について考えるもよし。とにかく新しい情報が頭に入ってこなければOKであります。いわゆるマインドワンダリングですな。
ウェイクフルレストで10%記憶に残りやすくなる
その後、すべての参加者に対して、90分後と1週間後の2回にわけて「できるだけ細かくストーリーを思い出してください」と指示したところ、
- ウェイクフルレストを行ったグループは記憶の定着率が10%高かった!
って違いが出たんだそうな。記憶の定着に睡眠が欠かせないのは有名ですけど、たんに10分の休憩を取るだけでも格段に頭に残りやすくなるわけっすね。
今回の実験でわかるのは、秒単位では新たな記憶は形成されないという点だ。実際は、なにかを学習したあとの最初の数分に何をするかで、新たな情報が1週間後も記憶に定着するかどうかが決まる。
これまでの実験でも、「新しい情報」を記憶に残すためには、初期の記憶形成プロセスのタイミングをはるかに越えて、より多くの神経プロセスを起こさねばならないことはわかっている。
ってことで、学習のあとにすぐ別のことをしちゃうと、その時点で記憶形成プロセスにノイズが入っちゃうみたい。
まとめ
さらに研究者いわく、
現代の情報過剰社会においては、私たちはゆっくり休む機会がない。仕事だろうが勉強だろうが、新たなタスクをよりよく学ぶためには、事前にダウンタイムを予定に組み込んでおくといいだろう。
とのこと。勉強とマインドワンダリングは必ずセットで考えろ!ってことですな。ちなみに、最近の研究でも「意図的なマインドワンダリングは脳にいい」って結果ですんで、意図的にウェイクフルレストを取るようにしたほうがよさげですなー。