1200本の分析でわかった「バズるコンテンツの条件とは?」問題
ここ数年で、世の中で一気に重要度が増したのが「科学をわかりやすく伝える」ってテーマであります。いまはSNSで専門家が直に発信するのが普通になりまして、従来のメディアを通さずに知識が広まる時代になったなぁって感じですな。
が、現実はなかなかシビアでして、「正確な情報を出しても、なぜか伸びない!」という問題が発生するケースはかなり多め。私がYouTubeなんかを見てるときも、「おっ、これはよくできた動画だな」と思って再生数を見たら全然伸びてないことはよくありますからね。
では、この問題をどうすればいいのかってことで、このたび「バズる科学コンテンツの特徴とは?」ってのをがっつり調べた研究(R)が出てまして、いろいろ勉強になりました。あくまで科学コンテンツを対象にした研究ですが、情報発信で伸び悩んでいる人全般にとっても、おおいに参考になる内容じゃないかと。
さて、まず前提として、なんで研究チームが「科学コンテンツのバズ」について調べたかというと、「いまの情報環境は完全に飽和状態だ!」ってポイントを挙げておられます。ご存じのとおり、いまのネットってのは、
- 誰でも発信できる
- コンテンツが無限にある
- アルゴリズムが選別する
って状況になってまして、これで発生するのが『「質」より「適応力」が勝つ!』って現象であります。簡単にいうと、どれだけいい内容でも環境にハマらなければ見られないみたいな話でして、逆にフォーマットに合っていれば中身がそこそこでも伸びてしまうんですね。どれだけコンテンツの内容が正しくても、「プラットフォームに合ってない」と普通に埋もれちゃうのが困ったもんですなぁ……って問題意識が研究チームのなかにあったわけですな。
ということで、この研究では、
- 科学系インフルエンサー60人
- 動画1200本
- TikTok・Instagram・YouTube
からデータを集め、それぞれのいいね数・コメント数・視聴反応などの指標(KPI)や言語表現の特徴を分析。かなり大規模なデータをもとに「バズる科学コンテンツにはどんな特徴があるのか?」ってのを調べ、こんな結論を出しております。
- コンテンツがバズるかどうかは「内容」より「場所」で決まる!
要するに、何を言うか(コンテンツの中身)ではなく、どこでどう言うか(プラットフォームへの適応)のほうが重要だって話です。当然ながら、それぞれのプラットフォームには独自の特性がありまして、この調査データでも、
- TikTok:いいね・コメントが圧倒的に多い
- Instagram:ポジティブな投稿が強い
- YouTube:反応は弱いが深い説明が可能
みたいな違いがはっきり出ております。コンテンツの質どうこうよりも、この特性に合わせて表現するほうがバズりやすいぞってことでして、なかなか身も蓋もない話っすね。
では、プラットフォームごとにどんな表現をすべきかってことで、このへんを整理してみましょう。
TikTokは、とにかく「速さ」と「即理解」が大事
データだとTikTokにはこんな特徴が出ております。
- いいね数・コメント数がめっちゃ多い
- 客観的な説明に徹したコンテンツが強い
- 感情の強度はあるが持続が短いので、「3秒で理解できるか」がすべて
ということで、TikTokでは長い説明は即スキップされるので、とにかく結論を先に言ってしまい、できるだけ情報を削り、内容を一発で伝えるって3つが基本戦略になるそうな。そりゃそうだろうなーって感じですね。
Instagramは「ポジティブ感情」がすべて
同じように、Instagramの特徴はかなりわかりやすくて、
- ポジティブな投稿ほど伸びやすい
- 主観・ストーリーを語ったコンテンツが人気になりやすい
- ハッシュタグや雰囲気も重要
みたいになってました。要するに、「正しい情報」よりも「感じのよさ」のほうが大事!ってことですな。データでは、Instagramは他のプラットフォームより明確にポジティブな表現が多かったって結果が出てますんで、共感しやすいストーリー性や前向きな感情表現といったポイントを満たすのがいいんでしょうな。
YouTubeは深さと皮肉が大事になる
一方でYouTubeはちょっと異質な傾向が出てまして、
- コンテンツを見ても、それに「いいね」などで反応する人は少ない
- たんに「事実」を述べるのではなく、意見や解釈が入っているコンテンツのほうが受ける
- 「皮肉(アイロニー)」表現を使ったコンテンツのほうが受ける
みたいな特徴があったんだそうな。つまり、YouTubeってのは「バズりにくいけどコンテンツの内容を理解してもらうには良い」って特性があるんでしょうな。ちなみに「皮肉が効く」ってとこがちょっと不思議かもですが、これについては、
- 長い説明は退屈になりがちで、そのままではみんな離脱してしまう
- しかし、そこで皮肉やユーモアを入れることで、見る側の注意が戻りやすくなる
といった効果が出るのが大きいらしい。YouTubeは深い解説に向いているものの、集中力をブーストする仕掛けを適度に入れなきゃいけないってことですね。
で、プラットフォームごとの特徴は以上ですが、さらにコンテンツのジャンルによっても視聴者の反応が変わることが示されてまして、
- 工学・物理系
- いいねが多くつきやすい
- 客観的で説明重視なもののほうがよい
- 一方向なコミュニケーションが有効に働く
- 全体としては、とにかく「正確に伝える」を目指すのが最適
- 社会科学(心理・社会)系
- コメントが爆増しやすい
- コメントで議論が起きやすい
- 自分の主観や感情も折り込むと受けやすい
- 全体としては、とにかく「視聴者に議論させる」ことを目指すと良い
- 健康系
- 信頼性があるものほど受けやすい
- 客観性+共感を誘うような内容が肝になる
- 全体としては、とにかく「視聴者を安心させる」ようなコンテンツ作りがカギ
みたいになります。ジャンルによってコンテンツの作り方が変わるってのも、言われてみれば納得ですなぁ。
では、どうすればいいのか?って話ですが、この知見からポイントを抽出してみると、
- とにかくプラットフォームごとにコンテンツをいじるのが大事。TikTok用はとにかく情報を削り、Instagram用にはエモーショナルな要素を足し、YouTube用には情報を深掘るのが吉。
- プラットフォームごとにゴールを分けるのも大事で、バズりたいならTikTok、共感されたいならInstagram、理解させたいならYouTubeって感じ。全部を同時に満たすのはほぼ無理なのであきらめる。
みたいになります。とにかくバズはプラットフォーム依存で、分野ごとに戦略が違うみたいなんで、「何を言うか」の前に「どこでどう言うか」を決めるのが大事ってことなんでしょうなぁ。「ちゃんとやってるのに伸びない……」みたいな方は、ひとまずこの基本を押さえてみるといいんじゃないでしょうか。



