うつ病対策の定番「認知行動療法」は、30年で治療効果が半減したとの衝撃レポートが
うつ病対策のナンバーワンといえば「認知行動療法」。「ゆがんだ思考のクセを正せばうつ病も治る!」って考え方にもとづいてまして、実際に効くってデータが多いもんで、初心者向けの実践本も死ぬほど出ております。
なんですが、近ごろ出たメタ解析(1)で「ここ30年で認知行動療法の効果は半減してる!」って結果が出ててかなりビビりました。なにせ「認知行動療法」といえば、いまやうつ病対策のスタンダードですから。
これは1997〜2014年に出た70件の論文を解析したもので、時が経つごとに認知行動療法の効果がガンガン減ってることがわかったんですね。具体的なグラフはこんな感じ。
完全に治療効果が右肩下がりですねー。びっくり。
この現象に対して研究者は2つの原因を想定しております。
- 認知行動療法が広まったせいで質の悪い治療者が増えた
- 初期の治療効果はただのプラセボ効果だった
1番はスンナリと受け入れやすい説ですが、2番目の理由は認知行動療法ファンにはツラいんじゃないでしょうか。研究者いわく、
初期のころ、認知行動療法は精神疾患を治療するゴールデンスタンダードとしてもてはやされた。しかし、実証研究が進むにつれ、必ずしも認知行動療法が他のテクニックよりも優れているわけではないことがわかってきた。この情報がインターネットなどを通して世間に広まり、認知行動療法に対する希望や信頼が減ってしまったのかもしれない。
とのこと。そもそも、かつての認知行動療法の成果は、かなりのゲタを履いてたんだ、と。
しかし、考えてみれば、これは心理療法の世界ではよくある話で、過去にも「抗うつ剤や統合失調症のクスリの効果が減った!」ってデータがあったりとかしますんで(2,3)、それぐらいプラセボ効果の影響を取り除くのは難しいんでしょうね。
おそらくは、いま我が世の春を謳歌しているマインドフルネスも、いずれは「実はそんなに効果がなかった!」と言われる日が必ず来るはず。個人的には、別にプラセボだろうが効けばいいと思ってますし、それでも効果があるのは間違いないので、エクササイズと同じで自分が続けやすい方法を選ぶのが一番なのではないかと思いますけど。