乳製品とフルーツはいっしょに食べちゃいけないってホント?
牛乳の飲み合わせに関するご質問をいただきました。
現在、プロテインに牛乳とカカオパウダーをシェイクしたものを飲んでいます。カカオパウダーは、味の調整とカカオポリフェノールの摂取のために加えています。
最近、カカオに関する記事を読んでいると、牛乳のカゼインや乳脂肪がポリフェノールの吸収を阻害するとありました。
また、お茶のカテキンなども同様に、牛乳との摂取で、吸収が阻害されるとありました。 ココアを牛乳に溶かしたものは一般的にも飲まれていると思いますが、ポリフェノールの摂取に関して、牛乳との相性はやはり悪いのでしょうか?
とのこと。牛乳とポリフェノールは一緒に飲んじゃいけないの?という疑問ですね。
牛乳がポリフェノールに影響をあたえるのは間違いない
牛乳とポリフェノールの相性が悪いのは有名な話で、2000年の前半からさまざまな実験が行われております(1)。その結果、牛乳のタンパク質がポリフェノールと結合するのは確実で、なんらかの影響が出るのも間違いないでしょう。
ご存じのとおり、野菜やフルーツのポリフェノールはアンチエイジングに欠かせない抗酸化成分。乳製品との相性が悪いとなれば、ミルクティーやミルクチョコはもちろん、ヨーグルトにブルーベリーを入れたり、ワインにチーズを合わせるのもよくないって話になっちゃうわけですな。なかなか大ごとであります。
牛乳とポリフェノールの相性はハッキリ言えない
では、実際にどれほどの悪影響があるかというと、実はハッキリしたことが言えないんですよ。というのも牛乳とポリフェノールのデータは、論文によって結果がかなり違うんですね。
たとえばカテキンの調査だけに絞ってみても、
- 紅茶に牛乳を入れたところ、紅茶の抗酸化力が大幅に下がった(2010年,2)
- 紅茶に牛乳を入れても、紅茶の抗酸化力は変わらなかった(2005年,3)
- ミルクティーは血中の抗酸化力に影響をあたえなかった(2000年,4)
などがありまして、かなり結果がバラバラなんですよ。別のポリフェノールのデータでも、
- ヨーグルトにイチゴを混ぜたら抗酸化力が23%減った(2015年,5)
- ザクロジュースにヨーグルトを混ぜたら抗酸化力が84%減った(2014年,6)
- ブルーベリーと乳製品を一緒に食べたら、抗酸化力が完全に消えた(2009年,7)
などなど数字にかなりの開きが出ております。さらに、現在の抗酸化力テストは約20%の範囲でエラーが出ると言われてまして、この要素も合わせたら何が正しいのかはサッパリわかりません。
こういった違いが出るのは、ポリフェノールと牛乳の質によって抗酸化力が大きく左右されるから。2010年の実験(2)によると、
- お茶の品質が高いほど抗酸化力は減らない(5〜50%の範囲で違いが出る)
- 乳脂肪が多いほど抗酸化力は減らない
- お茶を蒸らす時間が長いほど抗酸化力は減らない
といった傾向があるみたいなんですね。要するに、新鮮な野菜やフルーツであれば抗酸化力はダメージを受けにくいとは言えそうです。
まとめ
以上の話をまとめますと、
- 乳製品とポリフェノールの相性が良くないのは間違いない
- ただし、悪影響のレベルは-5%〜-90%まで幅広いので「絶対にダメ!」とは言えない
- 乳製品と他の食材を合わせるときは新鮮さに注意
といったところです。まぁヒトは抗酸化力のみにて生きるにあらずなんで、わたしもたまにヨーグルトにブルーベリーを入れて食べたりしております。