科学的に正しく他人を「ねたむ」技術2選
いまの心理学では「ネガティブな感情も人生の役に立つ!」って考え方が普通でして、映画「インサイドヘッド」のテーマにもなっておりました。
「ねたみ」には2つの種類がある
で、ここ数年で熱いのが「ねたみ」に関する研究。怒りや悲しみにもメリットがあるように、嫉妬も使い方によっては役に立つって話であります。
なかでも有名なのがティルブルフ大学のニールス・ヴァンディーバン博士で、なんでも「ねたみ」には以下の2種類があるんだそうな(1)。
- 良性のねたみ:嫉妬の対象と同じようになりたい!という気持ち
- 悪性のねたみ:嫉妬の対象に悪いことが起きろ!と願う気持ち
当然、役に立つのは「良性のねたみ」であります。「あこがれ」や「尊敬」といった感情にも近いですが、大きく違うのが「良性のねたみ」には心理的な苦痛がともなうとこ。「あこがれ」や「尊敬」は、あくまで心身に心地いい感情を指すんですな。
たとえば、最新のiPhoneをいち早く買った人がいた場合は、
- うわー、いいなぁ!(あこがれ)
- くっそー。俺はまだ手に入れてない!買わないと!(良性のねたみ)
- くそっ!ぶっ壊してやる!(悪性のねたみ)
といったパターンが考えられるわけですね。
「良性のねたみ」はモチベーションに変わる
また、「良性のねたみ」のメリットを具体的に示したのが2011年論文(2)であります。
これは学生を対象にした実験で、全員に架空の新聞記事(ある大学生が有名な学術賞をとったというもの)を読ませたうえで、知能と創造性のテストを行ったんですね。その結果は、
- 創造性と知能のいずれも「良性のねたみ」を抱いた学生が上まわった
- 「良性のねたみ」を抱いた学生ほど、「今後も頑張って勉強したい」と答える傾向が強かった
というもの。どうやら、「良性のねたみ」は前に向かうモチベーションを高めてくれるみたいですね。
いっぽうで、「あこがれ」か「悪性のねたみ」を抱いたグループの差はほとんどなかったそうで、これまた面白い結果。「あこがれ」よりも「良性のねたみ」のほうが最終的なメリットはデカいんですな。
正しく他人を「ねたむ」には?
では、「良性のねたみ」を持つにはどうすればいいかといいますと、ヴァンディーバン博士いわく重要なのは以下の2点であります。
- 成長型マインドセット:要は「頑張ればどうにかなる!」って気持ち。これがないと「自分には無理だから相手を不幸にするしかない!」という感覚が生まれ、どんどん精神のダークサイドに落ち込んでいく。成長型マインドセットを鍛える方法としては「『まだ』ってフレーズを使う」方法がありますんで、ご参照ください。
- 嫉妬を抱いた自分を責めない:基本的には誰でも嫉妬はしますんで、まずはネガティブな感情と仲良くなるのが大事。具体的には「あ、嫉妬が出てきたな…。こういう場面で出やすいんだな…」といったように、感情に名前をつけてやればOKかと思います。そのうえで、嫉妬をモチベーションとして使う方法を探すわけっすね。
というわけで、科学的に正しく他人を「ねたむ」技術でした。慣れないうちは嫉妬を客観的につかむのは難しいかもですが、続けていけば誰でもできますんでぜひお試しください。