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「長期的には糖質制限が一番体重が減る!」って研究結果が出ましたが…

 

ここんとこ糖質制限ダイエットに不利な研究が多かったんですが、今回は糖質制限ダイエットに有利なデータのご紹介を(1)。

 

 

1年のスパンで見れば糖質制限ダイエットは低脂肪ダイエットの1.5kgほど体重が減る

これは一流医学誌のランセットに出た論文で、53件のランダム化比較試験をメタ解析したもの。というと難しそうですが、要は過去に行われた低脂肪ダイエット実験のデータをまとめて大きな結論を出したんですね。ひとつの実験だけを見るよりも、かなり正確な情報が得られるわけです。


その結果を箇条書きにしますと、

  • 減量の実験では、全体的に低糖質ダイエット(地中海ダイエットや糖質制限など)のほうが1.5kgほど体重が減った
  • 低脂肪ダイエットとより高脂肪な食事をくらべても、低脂肪ダイエットのほうが1.37kgほど負けている
  • 普段の食事を続けた場合に比べれば、低脂肪ダイエットは効果がある


といった感じ。およそ1年間のスパンで見ると、糖質制限のほうが1.5kgほど体重は減ってたそうな。これは糖質制限好きには嬉しい話ですねぇ。

 



カロリー調整をしない場合は糖質制限のほうが総カロリーは減る

というと、当ブログの読者さんからは「あれ?糖質制限は間違ってるって前に言ってなかった?」みたいな疑問が出そうです。確かに、以前に紹介した2014年のメタ解析では「糖質の量は体重の減少とは関係がない!」って結論が出てるんですよね。そのへんを見ていきましょう。


ここで大事なのは、今回の最新論文が「摂取カロリーを考慮していない」とこです。つまり、「糖質(脂肪)だけ減らして好きなだけ食べてね!」といった指示だけを出して、特に厳密なカロリー調整を行ったわけではないんですね。当然ながら、普通の食生活では炭水化物の占める割合のほうが大きいので、上のような指示を出した場合は自然と糖質制限のほうが総カロリーが減りやすいんですよ。


いっぽうで、PLoS ONEに出た2014年のメタ解析は、ちゃんとカロリー調整をしているのがポイント。同じカロリーで糖質の量だけを変えた場合は、やっぱり体重の減少には差が出ないとの結論であります。


さらに2015年のセルメタボリズム論文では、同じカロリー量で脂肪か糖質を減らした場合、短期的には低脂肪ダイエットのほうが体脂肪は減るとのこと。これらの話を合わせれば、やはり「糖質制限ダイエットで体重が減るのは摂取カロリーが減ったから」といういつもの結論に落ち着くしかない感じ。「糖質制限ダイエットの理屈はおかしい!」という当ブログの意見には、特に変わりがない次第です。

 

 

まとめ

ここまでに紹介した研究をざっくりまとめると、

 

  • 「カロリーは気にしないで、脂肪か糖質のどっちかを減らしてね」という指示の場合、長期的には糖質制限ダイエットのほうが痩せる(2015年ランセット論文)
  • 「ちゃんとカロリーを計算して、脂肪か糖質のどっちかを減らしてね」という指示の場合、長期的なダイエット効果は変わらない(2014年PLoS ONE論文)
  • 「ちゃんとカロリーを計算して、脂肪か糖質のどっちかを減らしてね」という指示の場合、短期的には低脂肪ダイエットのほうが痩せる(2014年PLoS ONE論文)


といった感じになっております。これを見て思うのは、もはや「肥満の原因は糖質か脂肪か?」って疑問には意味がないんだろうなーってことですかね。イェール大学のデビッド・カッツ教授が言うとおり、「三大栄養素の割合を気にするのは、そろそろ止めるべきだと思う」ってことなんでしょう。


個人的にも、現在は1日のタンパク質量しか気にしてませんで、おもに「カロリーの質」だけに注意して暮らしております。三大栄養素の割合を調整しながら食べるのって面倒ですからねぇ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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