なんだかんだで「人生では正直と寛大が最高の戦略」だったりするぞという話
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/12/blog-post_18.html
「正直者はバカをみる!」などと言いますが、近ごろのゲーム理論研究(1)とかを読むと、最近は「最後は正直者が勝つ!」って見方のほうに分があるみたい。
これはイェール大学の実験で、まずはコンピューターに「最後通牒ゲーム」をやらせたんですね。最後通牒ゲームとは、
- AさんとBはさんに1万円をわたし、2人で分けてもらう
- 金額を決める権利はAさんにしかない
- BさんはAさんの決めた額が嫌なら拒否できる
- ただし、Bさんが拒否した場合は、2人とも一銭ももらえない
といったルールになっております。さらに今回の実験では、コンピューターに「成功してるヤツの戦略をパクれ!」という命令を出し、状況によって金額の分け方を変えるようにプログラムしたんだそうな。より現実の人間に近い形でシミュレーションしたわけですね。
その結果は、
- 誠実で公平な戦略を使ったプログラムが、最後には一番お金を稼いだ
- ただし、公平なヤツが勝つのは「不確実性」が高い状況に限られる
といった感じ。先行きが見えない状況では正直者が勝ち、安定した場面ではズルをしたほうが強いらしい。
これは実際にヒトを使った実験でも確認されていて、オンライン上で世界中のプレイヤーに同じゲームをやってもらったところ、
- 誰が勝つか負けるか明確にわからない状況では、より公平で正直な戦略を選ぶプレイヤーが増える
- 相手のせいで不利益を受けた場合も、いったんは寛大にふるまったほうが最終的な利益は増える
って結果だったんですね。もし何か嫌なことをされたとしても、少なくとも1〜2回は相手を許したほうがメリットは大きいみたい。
研究者いわく、
自分にデメリットがあったからといって、すぐに相手に仕返しをすれば、互いの関係性が壊れてしまう可能性がある。もっとも金を稼げる戦略とは、うまく相手にパスを出して、2〜3回ぐらいは向こうに華を持たせることだ。
とのこと。協力が必要な状況では、仕返しのメリットよりも仲間を失うコストのほうが大きいので、寛大にふるまったほうが最終的には有利なんだ、と。
近ごろは心理学でも「惜しみなく与える者ほど成功する!」みたいな話がありますけども、経済学方面からも似たような考え方が出てきてるんですねぇ。