旅に出て「行きより帰りのほうが短く感じたなぁ」と思ったことはありませんか?
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/12/blog-post_17.html
旅行に出かけたとき、「行きは長かったのに、帰りはやけに短く感じたなぁ…」と思ったことはありませんでしょうか?わたしはしょっちゅうです。新幹線でまったく同じ距離を移動しているのに、なぜか帰り道のほうが早い気がするんですよね。
かねてから不思議に思っていたところ、そのへんを調べた論文(1)が出ておりました。これは京大の実験で、参加者に「人物が道を歩いている動画」を20分見てもらったところ、やはり往路のほうが短く感じる現象が確認されたとか。
その理由については、いまところ3つの理由が存在しております。
- 帰り道のほうがなじみ深いから:旅に出たときは知らない風景が多いけど、帰り道には知識がついているので、そのぶんだけ時間が短く感じるという説。実際、なじみが深い場所に出かけたときは「復路効果」は起きないわけで、一理ありそうですねぇ。
- 行きのほうが時間に意識を集中するから:往路は「早くつかないかな」と思って時間に意識を向けがちなので、そのぶん時間の進み方が遅くなるという説。これもありそう。
- 時間の予想が甘いから:たいていの人は行きにかかる時間を甘く見積もるため、そのぶん往路を実際よりも長く感じてしまいがち。その反動で復路は短く感じるというもの。2011年の実験(2)でも支持する結果が出てまして、かなり有力な説であります。
いずれも説得力がありまして、恐らくはすべてが合わさって起きてるんでしょう。
が、今回の京大実験によれば、どうもヒトの脳は後から時間の感覚を操ってる可能性もあるようで、事態はなかなか複雑であります。つまり、旅行中は行きも帰りも同じ時間の流れを感じていたのに、家に着いた後から脳が「帰りのほうが短かった」と感覚をねつ造してるんだそうな。うーん、なぜなんだ、脳よ。
そんなわけで、よくある錯覚だと思ってたら、実は科学ではまだ明確な答えが出せない難問だったらしい。脳って不思議。