ロンドンスクール研究者「やわらかい食事ばっかのせいで現代人の顔は溶け始めている!」
現代人の顔は溶けている!
ダニエル・リーバーマン博士の「人体600万年史」は、ハーバード大の文化人類学者が、人体の進化をもとに文明病の原因を解き明かしていくナイスな一冊。
なかでも博士が文明病の代表として挙げているのが、顔面の変化の問題であります。数千年前の化石とくらべた場合、現代人の顔は体のサイズに対して5 〜10 %も縮んでいるというんですな。
この現象を、 ロンドンスクールのマイク・ミュウ博士は「現代人の顔は溶けている!」と表現しております(1)。大げさな表現ながら納得できる感じ。
現代人は古代人の3〜5%しか食べ物を噛んでない
現代人の顔が縮んだ原因は、やわらかいものばっか食べてるせいで歯とアゴがちゃんと成長しないから。なにせ咬合異常や乱ぐい歯、親知らずといった症状は先進国に特有の現象で、狩猟採集民には歯の異常がほぼ存在しないんですよ。
ちょっと前に紹介したウェストン・プライス博士も同じことを言ってまして、1930年代に大量の狩猟採集民を調べたところ、みなさん素晴らしい歯並びをしていたそうな。アゴに余裕があるせいで、日本人にはおなじみの親知らず問題も発生しないらしい。
▲プライス博士が撮影した狩猟採集民の歯。みなさん頑丈そうです
それもそのはずで、たとえばタンザニアのハッツァ族などは、食物繊維だらけの食材からカロリーを引き出すために、日がな1日ひたすら根菜や蜂の巣を噛み続けてるそうな(2)。これはこれで大変そうですが、確かにアゴは発達するでしょうな。
いっぽうで現代人はどうかと言えば、マイク・ミュウ博士の試算によると、古代人とくらべて3〜5%しか食べ物を噛んでないとのこと(1)。そりゃあ顔も溶けるかもしれませんなぁ。
ほかにも1984年にアボリジニの一家を調査した研究(3) によれば、親の世代は完璧な歯並びだったのに、子どもたちが加工食品を食べるようになってから歯並びがガタガタになっていったそうな。歯が悪いと呼吸にも影響が出ますんで、アレルギーなんかにも関係してきそうですな。
まとめ
そんなわけで、大人も子どもも飯はよく噛めよ!って話でした。 といっても狩猟採集民レベルでアゴを使うのは不可能でしょうから、せめてガムを噛むぐらいは心がけとくといいかも。