食欲を激しく減らす「スーパー食物繊維」が発見された件
スーパー食物繊維でジャンクフードへの欲望が減った!
「ジャンクフードを食べたい気持ちが消えるサプリがあった!」ってデータ(1)が出て話題になっておりました。
これはインペリアル・カレッジ・ロンドンの実験で、健康な20名の男性を対象にしたもの。みんなにイヌリンプロピオン酸エステル(イヌリンPE)が入ったミルクシェイクを飲んでもらい、食欲が減るかどうかをチェックしたんですね。。
まず前提として、イヌリンは食物繊維の一種。お腹のなかで腸内細菌が分解してプロピオン酸って短鎖脂肪酸に変え、これが「脳に働いて食欲をおさえてくれるんじゃない?」と考えられてるんですね。まことに、短鎖脂肪酸はいろいろと凄い物質であります。
そこで研究者たちが考えたのが、イヌリンとプロピオン酸がひっついたサプリを飲めば、さらに効率よく食欲が減るんじゃないの?って仮説です。ダイエットに役立つ「スーパー食物繊維」を作ろうとしてるわけですな。
実験では、まずイヌリンPEを飲んだ参加者をMRIにかけて脳をスキャン。そのうえでピザやチョコ、サラダなどの写真を見せたら、脳の報酬系の活動が少なかったんだそうな。つまり、ジャンクフードを見ても脳が興奮しなくなったわけですな。いやー、おもしろい。
スーパー食物繊維で食事の量が自然に減った!
続いて2番めの実験では、参加者にトマトソースのパスタが用意され、「好きなだけ食べていいよ!」と指示したんだとか。その結果、イヌリンPEを飲んだ参加者は、別のドリンクを飲んだ場合にくらべて10%もパスタの量が減ったらしい。かなり明確な差が出てますねー。
また、同じ研究チームは以前にも似た実験をしてまして(2)、イヌリンPEを半年ほど飲んだ参加者はハッキリと体重が減ったとか。こちらは肥満ぎみの男性が対象なので、体重が減りやすかったってのはあるでしょうが。
データによれば、1日10gのイヌリンPEを飲むと、普通のイヌリンにくらべてプロピオン酸が2.5倍も出るらしい。研究者いわく、
同じ量のプロピオン酸をイヌリンだけで得るには、1日に60gを摂取しなければならない。ちなみに、現時点でイギリスの食物繊維量は1日15gだ。
とのこと。日本人は1日に平均で12〜15gの食物繊維をとってるんで、同じようなもんですね。
ちなみに、国がおすすめする食物繊維の目標量は、1日に男性19g以上で女性17g以上。今回の実験と同じレベルのプロピオン酸をゲットするには、とても足りないですね。狩猟採集民なみに食物繊維をとっても足りないぐらい。
といっても、残念ながら、いまのところイヌリンPEのサプリは発売されておりません。おそらく、数年のうちには売りだされそうな気もしますが、いまのところはまったく不明であります。
いずれにせよ、次世代のダイエットサプリは、スーパー食物繊維が中心になっていったりするのかも。なにせ現在のダイエット薬は、脳の神経を興奮させて食欲を落とす仕組みのものが多いんで、それにくらべれば安全でいいですねぇ。
とりあえず、当面はイヌリンやオリゴ糖などをせっせと飲んで、短鎖脂肪酸の量を増やすのに専念するのがよさげです。どうぞよしなに。