今週の小ネタ:辛い仕事とメンタル、女性ホルモンとモテ、男のダメさ、など
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
仕事のストレスとメンタル
これはランセットに出てた論文(1)で、「キツい仕事を減らすと、どれぐらいに良いのか?」ってのを調べてくれております。ここでいう「キツい仕事」ってのは、
- シンプルに量が多い
- 上からの要求に矛盾がある
- 自分でコントロールできる部分が少ない
ってあたりを意味しております。特に最後の「自己コントロール感」はかなり大事なポイントで、人生の成功に欠かせないライフスキルのひとつにも選ばれてたりします。
で、この研究では6970人の男女(45〜50歳)のデータを使って、仕事とメンタルの関係をチェック。データの採取期間は50年にもおよんでまして、なかなかすごい。
でもって、すべてのデータから、病気や経済的な事情といったプライベートの問題を取り除き、さらには全員の性格、IQ、教育レベルなども調整したところ、
- 辛い仕事を改善すれば、メンタルを病む確率は14%低下する!
って結果だったらしい。14%って数値をどう見るかは難しいですが、個人的には「やっぱ仕事のストレスはデカいんだなー」と思いましたね。仕事に自己コントロール感がない人は、どうすれば改善できるかを考えてみるといいかも。
女性ホルモンと男性のモテ
これは584人の女性を対象にした実験(1)で、「女性のホルモンレベルによって男性の好みは変わるか?」を調べております。というのも過去のデータでは、女性の好みが生理周期によって変わる現象が確認されてまして、これって「ホルモンのせいじゃない?」と考えられてきたんですよ。
ってことで参加者には、以下のような画像を見せて「どっちが好きか?」を採点してもらっております。言うまでもなく、左が「男らしい顔」で右が「フェミニンな顔」。
でもってどんな結果だったかと言いますと、
- ホルモン変動に関係なく、女性は「男らしい顔」を選んだ!
って感じです。体内のエストラジオールやプロゲステロンが多かろうが少なかろうが、特に女性の好みには影響がなかったらしい。
ただし、これはあくまで「短期的に付き合いたい相手はどっち?」と尋ねた実験なんで、そのへんはご注意ください。過去の研究では「長期的な関係を結びたい時はフェミニンな顔の男がモテる」って結果も出てますのでね。
まぁ女性の好みを変化させるのは「関係性の見込み」で、ホルモンバランスは関係ないってことなのかもですな。
男のダメさとか
こちらはチャップマン大学の研究(2)で、96人の男女を対象に「公共財ゲーム」ってのをやってもらったもの。これは経済学の研究でよく使われるゲームで、「プレイヤーが不公平な行動をすると個人的な利益は大きくなるけど全体の利益は下がる」ようにデザインされております。つまり、参加者の協調的な行動をチェックしてるわけっすね。
これで何がわかったかと言いますと、
- 女性にくらべて男はガンガンにズルをしまくる
- 特に男性は、相手がズルをしてないと知ってる場合でも不公平な態度をとる
といったところ。つまり男性は短期的な利益のためにズルをしがちで、そのせいで社会全体のメリットが下がるだけでなく、自分の長期的なゲインまで下げちゃいがちな生き物なんだ、と。
近ごろは「リーダーは女性のほうが公益がたかまるんじゃない?」みたいな考え方も増えてきたんですが、これを見ると「そうかもなー」とか思っちゃいますな。