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優良ファイバー「イヌリン」はどこまで血糖コントロールに役立つのか?を調べたメタ分析の話



世の中にはいろんな食物繊維があるわけですが、このブログでよく取り上げているのがイヌリン。腸内細菌のエサになるタイプの食物繊維で、お腹の調子を改善する効果はなかなか高そうな感じなんですよ。


で、新しく出た論文(R)は、「イヌリンは血糖のコントロールに効くか?」って問題を調べたメタ分析になっております。当然ながら、血糖のコントロールはアンチエイジングの重要ポイントなんで、その効果は気になるところなわけです。

実際のところ、イヌリンってのは昔からある程度の知見がありまして、動物実験では免疫システムが改善したり、血圧が低下したり、血中脂質が良くなったりもしてたりするんすよね。その点でかなり見込みのある食物繊維なんですが、果たしてヒトへの効果はどうなのか、と。


というわけで、このメタ分析では33件の先行研究を選んでまして、

  • 7日間以上の効果を測定したランダム化比較試験またはクロスオーバーランダム化比較試験である
  • 空腹時のグルコース、インスリン、ヘモグロビンA1c、インスリン抵抗性のどれかを測定している

みたいな基準でデータをピックアップしたんだそうな。参加者は「健康体の人」「糖尿病の人」「太りすぎな人」などが入ってまして、幅広い層への効果をチェックしてます。


さて、結果です。

  • 全体的に、イヌリンのサプリを飲むと空腹時のグルコース、インスリン、ヘモグロビンA1c、インスリン抵抗性を有意に改善させる効果が確認された

  • 最も効果が高かったのは糖尿病の予備群と2型糖尿病に悩んでるグループだった(やっぱりなーって感じですが)

  • イヌリンを飲む量は1日に10グラムがベストで、血糖コントロールの効果が最大になった(それ以上は飲んでも意味がない可能性が高い)

  • サブグループの文脈では、イヌリンとプロバイオティクスを同時に使うことで、空腹時のインスリンとインスリン抵抗性が改善しやすくなっていた

みたいになってます。このメタ分析は事前に登録されてまして、データ選びの基準も厳格だしで、この結論は信頼性が高いなーって感じですね。


もちろん健康な人を対象にした場合はイヌリンの効果はかなり軽微なんですけど、それでも数値的には有意な差が出てまして、これは試すに値する結果ではないかと。ちなみに、イヌリンについては2011年のメタ分析(R)で「血糖コントロールの効果はどうかなー」って結論なんですけど、データとしての質は今回の方が高いんで、まぁいいのかなと。


ちなみに、イヌリンにもいろんな商品があるんで、どれを選ぶべきか?ってのは難しいとこなんですが、いまんとこは、


あたりが定番ではないかと。いずれもパウダータイプなんで、1日10gを適当なドリンク(コーヒーとか)に混ぜて飲んでいただくと良いでしょうね。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。