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今週半ばの小ネタ:顔だけでナルシストを見抜く方法とは? 運動の効果は遺伝で異なる? 職場の人気者になるための話し方スタイルとは?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

ナルシストを見抜く最新で最もシンプルな方法

その昔、「ナルシストを一発で見抜くためのたった1つの質問」みたいな話がありましたが、新しいデータ(R)は「外見からナルシストを見抜けるかもよ!」って結論になってておもしろかったです。

 

 

これはトロント大学などの調査で、まず結論から言ってしまうと、

 

  • ナルシストは眉毛に現れる!

 

みたいになります。なんだか不思議ですが、ナルシスティックな性格は眉毛に現れると言うんですよ。へー。

 

 

これがどんな研究だったかと言いますと、

 

  1. まずは参加者のナルシシズム度を調べる(「もし私が世界を支配していたら、世界はもっと良い場所になっていただろう」「自分の体を見せびらかすのが好きだ」「他人に対して権威を持つのが好きだ 」みたいな文章に賛成するかどうかでチェックしたらしい)

  2. 参加者の顔写真をデジタル処理して各パーツに切り分け、眉毛だけの写真と、顔全体、上半分、下半分、目と眉毛、顔全体を逆さまにした写真などを比較して、ナルシシズムのスコアと連動しているものを調べる

 

みたいになります。すると、顔のすべての領域を比較した結果、なぜか「特有の眉毛をしている人」ほどナルシシズムのレベルが高かったと言うんですな。

 

 

では、どんな眉毛がナルシシズムと連動していたかと言いますと、

 

  • 手入れ:2本の眉毛が同じ形をしているかどうか、形が整っているかどうか、眉毛をどれくらい抜いて、整えているか

  • 識別性:2本の眉間の距離、濃さ、太さ、密度などが特徴的で、すぐに「あの人の眉毛だ!」とわかるような形をしているか

  • 女性らしさ:アーチ型をしていて、フェミニンな印象があるかどうか

 

だったそうです。眉毛とナルシシズムが連動していると言われると不思議な感じがしますけど、研究チームの推測としては、

 

  1. そもそも眉毛は、非言語的なコミュニケーションにとても重要な役割を果たしている。眉毛の上げ下げだけでも、人間は相手の意図をある程度まで見抜くことができる

  2. 私たちは、有名人の顔を識別する際にも眉毛を使うことが多い。事実、眉毛がないセレブの写真を作ると、たいていの人はそれが誰だか急に判別しづらくなる

  3. 眉毛はこれだけ重要な役割を持っているので、ナルシストは自然と眉毛にこだわるようになる

 

ってことらしい。眉毛は人間の好感度やコミュニケーションに欠かせないので、それだけに自分の印象にこだわるナルシストが惹きつけられるんだ、と。なるほどねー。

 

 

 

運動の効果は遺伝によってどこまで異なるの?のメタ分析

同じような運動をしても、人によって効果の出方が異なるのはよく知られた話。同じだけ運動をしたはずなのに、人によっては格段に筋肉が増えたり、人によっては持久力がやたら上ったりと、成果が異なってしまうんですよね。一説には、運動のメリットの違いの80%は遺伝によって説明できるとも言われてますが、こればかりは生まれつきの問題なのでいたしかたないところであります。

 

 

では、具体的に「遺伝子は運動の効果をどれぐらい左右するのか?」ってことで、そのへんを調べたメタ分析(R)が出ておりました。

 

 

これは24件の先行研究をまとめた分析で、18~55歳の健康な3,012人の男女が対象。それぞれの実験期間はだいたい2週間以上で、以下の運動の効果の差をチェックしてます。

 

  • 持久力(VO2maxの75%)
  • 筋力(下半身1RMの75%)
  • パワー(PPOの90~110%)

 

でもって、それぞれの運動をした後の変化と、みんなの遺伝子を調べたところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • サブグループ解析の結果、遺伝子の違いは、持久力、筋力、パワーについて、それぞれ 44%、72%、10%を説明した

 

というわけで、筋力の発達についてはかなり遺伝の力が大きくて、持久力もそこそこ関係あるのかなーぐらいの感じですね。

 

 

ただ、これらの結果はあくまで予備的なものなので、そこらへんはご注意ください。と申しますのも、

 

  • 各遺伝子の研究グループの数が少なく、研究ごとの参加者数も少ない(17~743、中央値52)

  • 遺伝の効果にはだいたい複数の遺伝子が関わっているが、関係する遺伝子がすべてわかってるわけでもない
  • 試験ごとに解析手法がバラバラなので結果に影響を与えてる可能性もデカい

  •  ほとんどの遺伝子研究は、mRNAの発現を評価してるが、これが必ずしも実際の身体への影響につながるとは言えない

 

って問題がまだあるからです。まぁ遺伝学の研究はまだ始まったばかりなのでこの数字を鵜呑みにするのは難しいんすよ。ただ、運動の効果に遺伝の影響が大きいのは確実なんで、「自分はどのジャンルが伸びやすいのか?」ってあたりを気にしておくのはいいかもしんないですな。

 

 

 

職場での話し方で仲間に入れてもらえるかどうかが決まるよねーみたいな話

「職場での話し方で仲間に入れるかどうかが決まるぞ!」みたいな話が出ておりました(R)、これはMBAの学生に共同作業をしてもらった実験で、その際にみんなの「話し方」を以下の2パターンに分類しております。

 

  • 挑戦的:現状を打破するぞ!みたいな発言が多いタイプ。そのため人を傷つけることもあるが、先駆者としての役割も果たすことが多い。

  • 支持的:人をまとめ、信頼を築き、チームメイトを心地よくさせるチームプレーヤーのように振る舞うタイプ。

 

そのうえで、みんなに「どの人とチームを組んでプロジェクトに取り組みたいですか?」と尋ねたところ、

 

  • 支持的な話し方の人のほうが、挑戦的な話し方をする人よりも、チームに採用される可能性が高い(まぁそうでしょうな) 
  • 挑戦的な話し方をする人は、個人の能力が高いスキル、ノウハウ、自由な発想などのレベルが高い傾向がある
  • もっともチームメイトとして望まれたのは、たまーに挑戦的な話し方をするものの、基本的には支持的な話し方をする人だった

 

だったそうです。研究チームいわく、

 

支持的な話し方は、その人の親しみやすさと信頼性を表す。これは強い対人関係を育み、チームのコミュニケーション能力や目標達成のための努力の調整に影響を与える。

 

ってことで、要するに、みんな基本的に能力の高さよりは協調性が高い人を選ぶが、協調性に挑戦的なスパイスがかかっているのが最強ってことですな。過去に「ブランドや商品の成功は「温かさ」と「有能さ」の2つの軸で決まる!」みたいな話がありましたが、これと近いポイントですね。

 

 

ということで、特定のグループに受け入れられたい人は、

 

  • 8割ぐらいは協調性をアピールした話し方を心がけ、2割ぐらいは挑戦的な話し方をするといいよ!

 

ぐらいに考えておくといいかもですね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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