今週半ばの小ネタ:レスベラトールでメタボ改善? 家庭まで壊すヤバい上司とは? ブルーベリーを毎日食べると脳に良い?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
レスベラトロールはメタボに効果があるの?
レスベラトロールってのは、ワイン、ピーナッツ、ココア、いくつかの果物に含まれる天然由来のポリフェノール化合物の一種。ちょっと前にNHKなどで「アンチエイジングに効く!」と取り上げられて話題になったもんですが、それからはあんまり話を聞かなくなった印象っすね。
ただし、その後もレスベラトロールの研究は進んでまして、新しいメタ分析(R)では「メタボに効くの?」ってとこをガツンとチェックしてくれて参考になりました。
これは25のRCTをまとめた研究で、参加者は全部で合計1,171人(試験参加者数は9~50名で、平均年齢は21~68歳)。プラセボと比べて、レスベラトロールのサプリが、いろんな代謝の指標に意味があるかどうかをチェックしてます。具体的には、
- 総コレステロール
- トリグリセリド
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- 体重
- BMI
- ウエスト周囲径
- 体脂肪率
- 糖化ヘモグロビン(HbA1c)
- インスリン抵抗性
- 空腹時グルコース
- インスリン
- レプチン
- アディポネクチン
といったあたりでした。レスベラトロールの1日の投与量は50から1,000ミリグラムで、実験の期間は4週間から26週間だったそうな。
さて、以下に結果です。
- レスベラトロールのサプリには、ウエスト周囲径、糖化ヘモグロビン、総コレステロール、トリグリセリド、LDLコレステロール、HDLコレステロールに小さなメリットが確認された。
- ただし、ほとんどのアウトカムの解析でかなりの異質性が見られた。
ということで、このメタ分析では、レスベラトロールのサプリによって、ウエストサイズ、糖尿病リスク、血中脂質がわずかにするかも?って結論ですね。まー、このメタ分析を見る限り、全体的に不均一な試験ばっかで、データのほとんどは方法論の質が低いか中程度だったのは念頭に置いたほうがいいっすね。これを持って「レスベラトロール買うべし!」とは言えないものの、ちょい有望な結果かもなーぐらいの感じで。
こんな上司は家庭まで壊すから気をつけようぜ!
上司の質が部下の幸福にあたえる影響はめちゃくちゃデカい!ってのは、「科学的な適職」にも書いたとおり。悪い上司に当たっちゃうと、一発で暮らしの幸福度が下がるので、これはどうにかしておきたいところです。
でもって、新たに出た研究結果(R)によると、「なかでも部下の幸福度を激しく下げる上司はこれだ!」みたいな内容になってて面白かったです。これは、中国のIT企業2社と不動産会社1社の従業員207人を対象に行ったテストで、従業員たちに「上司のリーダーシップスタイル」「仕事と家庭生活の関係」について尋ね、さらに全員の配偶者たちにも「家族の満足度」を聞いてみたらしい。
その結果をひとことで言いますと、
- 権威主義的な上司のもとで働く従業員は、仕事と家庭の間で大きな葛藤を経験し、その結果、従業員の配偶者も「家庭生活への満足度が低い!」と報告する傾向があった。
- 一方、慈悲深いリーダーシップスタイルの上司を持つ従業員は、仕事によって家族の役割が促進され、その結果、配偶者は家庭生活に満足していると報告する傾向があった。
って感じです。ここでいう「権威主義的なリーダー」ってのは、従業員を支配しようとし、「ワシに服従せんかい!」と求め、「服従しないやつはダメ人間だ!」と叱るようなキャラを意味しております。このような行動が部下にとって負担になるのは誰にでもわかる話ですが、その悪影響は従業員の家族にもおよぶのではないか?ってことですな。きびしー。
研究チームいわく、
企業組織が権威主義的なリーダーシップ行動を排除しないと、そのコストは、家族にまで広範囲な悪影響を及ぼす可能性がある。権威主義的な指導者は、自分の行動を振り返り、認識し、従業員に対する厳しいコントロールを減らすことを学び、従業員に対してより個人的なキャリアや個人的なサポートを提供することによって、モデルとして慈悲深いリーダーシップを採用するよう奨励されるべきである。
ってことで、いまリーダーの地位についている方は、ぜひご注意ください。逆にいま権威主義的なリーダーの下についている人は……仕事のストレスを家に持ち帰らないように意識するしかないかなぁ……。
ブルーベリーを毎日食べると脳に良い?
このブログで何度も書いているとおり、当方ブルーベリー推しなわけです。なんせブルーベリーはアントシアニンやプロアントシアニジン(生物活性フラボノイド)といった健康に役立つ成分が豊富なんで、いろんな健康メリットがあるんですよね。
でもって、新しいRCT(R)では「中年の脳にブルーベリーは効くのか?」ってところを調べてくれていて、私のようなオッサンには非常に役立ちました。
ってことで、このランダム化比較試験では、体重が重めで「ちょっと近ごろ記憶が下がったなー」とか「ちょっと頭が回らなくなったなー」といった自覚がある中年の男女(つまり、将来的に認知症のリスクがある)33名を対象に、ブルーベリーが認知機能に良い影響があるのかをチェックしてくれてます。
具体的な実験の概要を簡単にまとめておくと、
- ブルーベリーは、果実の0.5カップ分に相当する量を凍結乾燥粉末の形で摂取する
- プラセボグループには、糖分、グリセミック負荷、外観、味はブルーベリーと同じにしたが、食物繊維やアントシアニンなどを含まない粉末を飲んでもらう
- 実験の期間は12週間で、上記の粉末を毎日飲む。
- 試験の開始時と終了時に、5種類の測定法を使い、脳がバッチリ働いているか(実行能力、学習/記憶、気分など)を評価する。
- ついでに、代謝マーカー(血中脂質、グルコース、インスリン)、体型(体重、BMI、ウエスト周囲径)、ミトコンドリア酸素消費率、食事摂取量も評価した。
みたいになってます。0.5カップ分のブルーベリーってのはだいたい75gぐらいでして、セブンイレブンの冷凍ブルーベリーだったら一袋の半分よりちょい多いぐらいですね。これを毎日12週間にわたって食べ続けたらどうなるのか、と。
では、以下に結果です。
- 毎日ブルーベリーを食べたグループは、認知パフォーマンス(実行能力と記憶力)と空腹時インスリンが改善した
- ただし、ブルーベリーを食べても、血中脂質、人体測定値、その他の測定代謝パラメータには影響がなかった
ということで、ブルーベリーを毎日食べることで、認知パフォーマンスのいくつかの領域が改善するかもしれないわけですね。めっさ小規模な試験なんで、これだけでブルーベリーが脳に良いとはとても言えないものの、私の推しフルーツに、またひとつよいデータが出てきてよかったなーって感じですねー。