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「筋トレするならサプリより自然な食事がいい!」はどこまで本当か問題


 

「筋トレするならサプリより自然な食事がいい!」を見かけたことはないでしょうか。「プロテインより卵や肉の方が吸収がいい」とか「自然な食品は栄養の相乗効果がある!」みたいな考え方で、なんとなく“正しそう”な感じがするわけです。

 

では、これがどこまで正しいのかってことで、具体的にデータ(R)を確認してみましょう。この研究は、若い男性を対象に「全卵」と「卵白」で筋タンパク合成(MPS)がどう変わるかを比較したものです。まずは参加者に筋トレをさせたあとに、

 

  1. 卵白(最もサプリ寄り)
  2. 全卵
  3. 肉や魚などの食品

 

の3つのどれかを摂取してもらい、そこから筋タンパクの合成速度を測定したんだそうな。つまり、「体の中でどれだけ筋肉が作られているか」を直接評価したわけですね。もちろん、どの条件も摂取するタンパク質の量は同じぐらいにそろえられております。なかなかコントロールの効いた実験デザインでいいっすね。

 

で、結果がどうだったかというと、

 

  • どの条件でも、筋タンパク合成はほぼ同じ!

 

だったそうです。「ナチュラルフードの方が筋肉がつきやすい!」みたいな話は、少なくともこの条件では確認されなかったわけですね(もちろん、長期的な違いはわかりませんが)。

 

となると、多くの人は「じゃあ、プロテインだけ飲んでればよくない?」って気になるわけですが、実は話はここで終わらなかったりします。実はこの研究、もう一つ面白いポイントがありまして、“全身レベル”では少し差が出てるんですよ。というのも、全身のアナボリック(同化)反応を見ると、卵白の方がやや有利って結果になってるんですよね。これがどういうことかというと、

 

  • 筋肉単体では、どれ食べても同じ

  • 体全体では、サプリのほうが微妙に差が出るかも

 

みたいな話です。ただし、この差もあくまで“わずか”なものだし、しかも短期研究なので「やはりサプリ最強!」とも言い切れないのが難しいところです。まぁ、少なくとも筋肉を育てるってところから言えば、「自然食でもサプリでもなんでもいい!」ってことになるのかもしれません。「食品 vs サプリ論争」って、思ってるほど重要じゃないんでしょうな。

 

となると、「食品 vs サプリ」って視点よりも大事なことはなにか?ってとこに意識が向きますけども、過去の研究を見てみると、こちらの結論はめっちゃシンプルなものでして、

 

  • 「総タンパク質量」と「総カロリー」が一番大事!

 

って感じになるんじゃないでしょうか。このあたりはかなりデータがそろっていて、たとえば2018年の大規模メタ分析(R)では、筋トレとタンパク質の摂取を組み合わせた場合、筋肥大に対するタンパク質の効果は「どれだけの量を摂るか?」に強く関係しており、体重1kgあたり約1.6g前後でほぼ頭打ちになることが示されております。逆に言えば、このラインに届いていない場合は、どんなに“質のいいタンパク質”を選んでも筋肉はちゃんと育たないのだと言えましょう。

 

さらに、エネルギーのバランスに関する研究を見ても、カロリー不足の状態では筋タンパク合成の反応そのものが鈍くなることが確認されております。ある研究(R)では、エネルギー不足の状態でトレーニング後にタンパク質を摂取しても、通常よりも筋合成の反応が弱くなってしまうことが示されてまして、「材料(タンパク質)」だけでなく「エネルギー(カロリー)」も同時に満たされていないと、体は筋肉を作るモードに入りにくいってのもわかってるんですよね。

 

なので、ここまでの研究をまとめると、高タンパクかつ十分なエネルギーを確保したほうが、低タンパクの人たちよりも筋肉の増加が大きいし、さらには脂肪の減少も進むという傾向がハッキリと出てるんですよ。つまり、「何から摂るか」よりも、「どれだけ摂るか」と「エネルギーが足りているか」が筋肥大の土台を決めているわけです。

 

こうして見ていくと、食品かサプリかといった“質の違い”は、土台が整ったあとにようやく効いてくる二次的な要素みたいなもんで、まず優先すべきは「総タンパク質量」と「総カロリー」だ、という結論になるわけです。

なので、どんなに高品質なタンパク源でも、

 

  • 摂取量が足りなければ筋肉はつかないし
  • カロリーが不足していれば成長は止まる

 

わけですな。逆に言えば、ちゃんと食べていれば、細かいタンパク源の差は誤差レベルぐらいに考えておくといいかもですね。

 

というわけで、この問題の落としどころをまとめてみると、

 

  • タンパク源は食品でもサプリでもOK

  • どのタンパクを摂るかは、続けやすい方を選べばいい

  • タンパク質で重要なのは「量」と「継続」

 

という非常に簡単なものになりますね。いずれにせよ、質にこだわりすぎて、量が足りてなかったら意味がなくなっちゃうので、「プロテインか鶏むね肉かで悩む前に、まず“ちゃんと食べろ”!」ってのを念頭に置いていただければ幸いであります。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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