2時間で8時間睡眠!? 夢のアイマスク「NeuroOn:」は買いなのか?
「NeuroOn:」ってアイマスクが話題になっております。2時間の睡眠で8時間寝ただけの効果を得られる!ってのがウリ文句で、お値段は約3万円。
これは、「短い睡眠を繰り返せば人間はほとんど眠らなくてもOK!」って説にもとづいてまして、具体的には、20分間の短い睡眠を4時間ごとに繰り返すだけ。1日に2時間しか眠れない計算ですが、それでも眠気は起こらず、活動的にいられるんだとか。一般的に「多相性睡眠」と呼ばれる睡眠テクニックであります。
多相性睡眠の効果を実証したデータはない
これが事実ならば、わたしもぜひ試したいんですが、残念ながら、多くの睡眠学者からはまともに相手にされていないんですよね。実際のところ、多相性睡眠を支持しているのは、時間生物学者のクラウディオ・スタンピ博士(1)ぐらいで、実際の効果をあきらかにしたデータは何もないのが現状であります。
そもそも、この多相性睡眠は、「ノンレム睡眠は不要だから削っても問題なし!」って発想がベースになってるんですが、そのへんの理屈がまったくわからないんですね。
ノンレム睡眠には大脳を休める役割がありまして、ストレスを減らしたり免疫系を高める大事な働きを持っております。また、脳はノンレム睡眠のときに成長ホルモンを出す性質がありまして、こま切れに寝るとアンチエイジング効果も出なくなっちゃう。とにかくノンレム睡眠は超大事。
ただし二相性睡眠はアリ
もっとも、すべての多相性睡眠がダメかといえば、そんなわけでもありません。というのも、多くの人間にとっては二相性睡眠のほうが自然だってデータが結構あるんですよ。
二相性睡眠は、その名の通り1日の睡眠時間を2つにわける方法で、有名なのは1992年の研究(2)であります。被験者たちに一切の夜間照明を使わせず、太陽の光だけで1カ月暮らしてもらったところ、全員の睡眠パターンが自然と二相性に切り替わっていったというんですね。
具体的には、
- 夜中に3〜4時間ほど寝る
- いったん1〜2時間ほど起きる
- また3〜4時間眠る
ってサイクルになったんだそうで、研究者は「二相性こそが人類の正しい睡眠パターンだ」と結論づけております。生物学者のキャロル・ワースマン博士も、狩猟採集民は日中に昼寝をとるケースが多い(3)と述べてまして、パレオダイエット的にも二相性の睡眠のほうが自然なんだろうなーと思う次第です。
まとめ
そんなわけで、「NeuroOn:」はまったくオススメできないものの、夜中の睡眠を2つにわけたり、日中に軽く昼寝を取るのは大賛成。具体的には、
などをご参照くださいませ。