糖尿病を治すには糖質よりも体脂肪を減らすのが先だよねーという話
糖質を減らせば糖尿病は改善する?
当ブログでは、「糖質の量ってダイエットに関係ないよねー」って話をよく取り上げてますが、そこで聞かれるのが「糖尿病との関係はどうなんですか?」みたいな話。
インスリンの分泌量を気にしてもダイエットには意味がないなら、糖質を減らせば糖尿病に効くって話も怪しいんじゃない?って問題ですね。
このへんは実験でも分かれてまして、たとえば短期間の実験(1,2)だと「糖質を減らして結果が出た!」って結果が出てるのに、最近になって出たもっと厳密な実験(3)では支持されてなかったり。難しいところですねぇ。
糖質量とインスリン抵抗性の関係を調べた
そんな状況下、1年にわたって糖質の量と糖尿の関係を調べた論文(4)が出まして、かなりいい感じです。
これは245人の女性を対象にした実験で、平均のBMIは33.5ぐらい。年齢は22〜72才までと幅広く、その多くにインスリン抵抗性があったそうな(糖尿病はまだ発症していない段階)。
ご存じのとおり、インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉などでインスリンがちゃんと働かない状態のこと。こいつが続くと糖尿病につながっていくわけですね。
糖質量を10%変えたら1年後にどうなる?
で、実験では、参加者を3つのグループにわけまして。
- 糖質56%グループ:1日に糖質56%、脂肪20%、タンパク質15%を摂る
- 糖質45%グループ:1日に糖質45%、脂肪35%、タンパク質20%を摂る
- 糖質45%+クルミグループ:1日に糖質45%、脂肪35%、タンパク質20%に加えて42gのクルミを食べる
全員の1日の食事量は、維持カロリーのマイナス500〜1,000kcalに調整。さらに毎日60分の軽度なエクササイズをやってもらったらしい。
ちなみに、3番めのグループにクルミを追加したのは、クルミには全身の炎症を抑える作用があるから(5)。というのも、そもそも近年では「インスリン抵抗性の原因って炎症なんじゃない?」って説が優勢なんですよね。
ざっくり言うと、肥満などのせいで全身に慢性的な炎症が起こり、そのせいでインスリンの効きが悪くなっていき、最後はインスリン抵抗性に進んでいく感じ。さらにくわしくは「あらゆる不調を引き起こす「慢性炎症」の話」などをどうぞ。
どのグループも同じぐらいインスリン抵抗性が改善していた
さて、1年後の結果がどうだったかと言いますと、
- 全グループとも、ほぼ同じぐらい体重が減っていた
- 中性脂肪やコレステロール値も、みな同じぐらい改善していた
- インスリン抵抗性も、全グループが30%ほど改善していた(ただしクルミを食べたグループは、ちょっと改善度が大きかった)
みたいな感じ。少しだけクルミの効果があったものの、全体的にはみんな同じぐらいの改善がみられたみたい。
どんな方法でもいいから体脂肪を減らすのが大事
で、この結果から推測できることは、
- インスリン抵抗性を改善するには、結局は体脂肪を減らすのが一番大事っぽい
- ダイエットと同時に炎症対策もしておくと、さらに結果が良くなりそう
みたいな感じ。つまり、自分にとって楽に続けられるダイエット法こそが、もっとも糖尿病に効く食事法なんじゃないの?ってことです。「11種類のダイエット法を比べてわかった『最強の減量法』」と似たような結論ですね。
まとめ
もちろん、これは糖質制限ダイエットの効果をチェックした実験ではないので、「いや!スーパー糖質制限なら効果が違うんだ!」って指摘は当然ありでしょう。そのへんに関しては今後の研究待ちってことで。
いずれにせよ、「糖尿病には体脂肪を減らすのが超大事」ってのは、他のデータでもかなり確立された事実(6)。現時点では、特定のダイエットにこだわらず、自分が手をつけやすいメソッドを選ぶのが良いかと思いますねー。