なぜ目覚ましのスヌーズ機能は使っちゃいけないのか?
スヌーズ機能で朝が辛くなる理由
「目覚ましのスヌーズ機能を使うと逆に起きづらくなるぞ!」っていう、おもしろいコラム(1)が出ておりました。
著者は「予想どおりに不合理」などで有名な、行動経済学者のダン・アリエリー博士。スヌーズといえば、普通は「あと10分だけ!」って希望をかなえてくれる嬉しい機能ですが、行動経済学的には、まったくの逆効果なんだそうな。
その理由はシンプルで、スヌーズ機能により起床までの手間が増えちゃうから。どういうことかと言うと、
- スヌーズを使う=ベッドから出るまでに2〜3回はアラームを止めなきゃなんない
- スヌーズを使わない=ベッドから出るまでに止めるアラームは1回だけ
みたいな感じ。パっと見は、スヌーズを使ったほうがダラダラできて良さそうですが、実際は目を覚ますまでの手間を増やしており、そのせいで起きるのが面倒になっていくんだって考え方ですね。
スヌーズは脳を混乱させる
アリエリー博士いわく、
スヌーズ機能を使うと、私たちの体は混乱してしまう。同じアラームの音でも、ときに「目覚ましが鳴ったら目を覚ませ!」というメッセージになり、また別のときは「目覚ましが鳴ったら後10分寝てもいい!」というメッセージに変化するからだ。
とのこと。同じアラーム音なのに、状況によって意味が変わっちゃうんで、どう反応していいのか脳が困っちゃうわけですな。
一般的に、私たちの体は「ひとつの明確なルール」にだけ上手く適応するようにできている。この場合は、「アラームが鳴ったらベッドから出る!」というルールだ。
人間は単純なルールじゃないと対応できない生き物なので、起床までのシステムは、できるだけシンプルなほうがいいそうな。納得。
行動経済学のシンプルな解決法
もともと、行動経済学による「問題解決法」ってのはとてもシンプルで、
- 減らしたい行動は、実行に必要な手間を増やす!
- 増やしたい行動は、実行に必要な手間を減らす!
- 特に増やしたい行動は、完全に自動化する!(例:野菜の定期宅配を頼んで、野菜の摂取量を増やす)
って考え方を使うケースが多めであります。「行動経済学的な食べ過ぎを防止法」でも同じような発想が使われてましたが、当然、スヌーズ機能もこの法則に当てはまるわけですね。
つまり、行動経済学的には、目覚まし時計は「目を覚ますための道具」として使うのではなく、アラームへの反応を引き起こすためのトレーニングマシンとして使うのが正解。まぁ、そもそも「目覚まし時計を使っている時点で睡眠は乱れている」って説もあるわけですが。
というわけで、このコラムは、たんにスヌーズ機能の良し悪しだけでなく、行動経済学の知見を現実に活かす応用例として楽しく読めました。いろんなところに、思わぬ「手間」が潜んでるもんですなぁ。
ちなみにスヌーズ機能に関しては、「明晰夢を見るために使えるかも」って話もありますんで、興味のある方はぜひお試しを。