日本人はポジティブ思考でも健康はなれないかも説
日本人はポジティブでも健康にはなれない?
「ポジティブな人は健康!」 って話が昔からありまして、「慶応大学が勧めるアンチエイジング10カ条」でも「いつも楽観的にいよう!」ってTIPSが1番目に紹介されてたりします。その理由はハッキリしてないんですけど、とりあえずポジティブな人はストレスが少ないのが大きいのでは?って説が有力っぽい。
が、新しい論文(1)を見てたら、「日本人はポジティブと健康は無関係かも!」って結論になっててちょっと笑いました。
日本人と欧米人はポジティブに対する体の反応が違う
これはウィスコンシン大学の研究で、まずは結論からどーぞ。
ポジティブな感情と血中脂質の関係は、文化によって異なっていた。アメリカの成人は、「快適」や「幸せ」といった感情のレベルが高いほど脂質プロファイルが健康的だ。この傾向は、年齢、性別、年収といった要素を調整しても確認された。ところが、日本の成人には同じ傾向が見られなかったのだ。
感情と健康の関係を理解するには、文化的な文脈を把握するのが重要なようだ。これは、しばしば多くの研究で見過ごされてきたポイントだろう。
ってことで、アメリカ人はポジティブな人ほど体内のコレステロールや中性脂肪の数値が良いのに、なぜか日本人は関係がなかったんだそうな。おもしろいですねぇ。
欧米人はポジティブな人ほどBMIが低い
具体的にどんな研究だったかというと、アメリカ国立老化研究所が集めてるデータセットを使って、アメリカ人と日本人の健康状態をチェックしたんですね。このデータには、
- 参加者が日常的にどれだけポジティブな感情を抱いているか
- 血中のコレステロールや中性脂肪値
などがふくまれてまして、2つの文化間で感情と健康レベルの相関が比較できるんですな。
その結果は上記のとおりで、なぜか日本人にはポジティブ感情と血中脂質に関係がなかった、というもの。さらに言えば、アメリカ人はポジティブな人ほどBMIが低い傾向があったのが、日本人には同じ相関が出なかったらしい。
東アジアではポジティブ感情の捉え方が違う?
さらに研究者いわく、
アメリカの文化では、ポジティブな感情は望ましいものと判断され、コミュニケーションの場でも積極的にすすめられる。しかし、東アジアの文化では、ポジティブな感情には悪い側面もあると考えられている。
東アジアでは、ポジティブな感情はうつろいやすく、他者からの不要な注意を集め、ときに重要なタスクから気をそらしてしまう邪魔なものだと考える。
とのこと。うーん、いまいち実感がわかない気もしますが、そんなもんでしょうか。確かに、欧米よりはポジティブ信仰は少ないでしょうか。
まぁこれは横断研究なので、データの質としてはそこそこって感じです。長期の緯度研究なんかを見てみたいとこっすね、ただ、欧米とアジアの差については、過去にも「アジア人にはポジティブシンキングが効かない」なんて話があったので、文化差もあるのかねぇ、とは思う次第です。