限界の30%ぐらいのかるーい筋トレでも十分に筋肉は発達するぞ!という実験
その昔、「筋肉は限界まで追い込まなくても発達する」みたいな話を書いたことがありました。
ざっくり言えば、「もう1ミリも体が動かない!」ってとこまで自分を追い込まなくても、その一歩か二歩ぐらい手前で筋トレを止めても、ちゃんと筋肉の量は増えるよーみたいな話です。ムダに自分を追い込んでも、実はあんま意味がないのではないか、と。
これが事実であれば、いたずらに筋肉を追い込まないほうが疲れなくてすむし、なにより安全にトレーニングできていいわけです。大事なポイントですなぁ。
といったところで新しく出た論文(1)では、「筋肉どこまで追い込むべきか?」問題について、さらにくわしいことを調べてくれてて有用でありました。
これはサンパウロ大学の実験で、何をチェックしてくれたのかと言いますと、
- 高負荷のトレーニングか低負荷のトレーニングで筋肉を追い込んだら、両者に違いは出るのか?
- 高負荷のトレーニングか低負荷のトレーニングで筋肉を追い込まずに止めたら、両者に違いは出るのか?
- 筋肉を追い込んだ場合と、筋肉を追い込まない場合で、筋肉の増え方に違いは出るのか?
みたいなところです。これまでの研究とは違って、軽めの重りを使ったときの筋肉の変化まで調べてくれたわけですね。いいっすねー。
参加者は28人の男性で、年齢は30代の前半。全員に以下の4パターンのトレーニングを指示しております。
- 高負荷で限界まで追い込む
- 低負荷で限界まで追い込む
- 高負荷で限界のちょい手前で止める
- 低負荷で限界のちょい手前で止める
トレーニングのペースは週2回で、足のトレーニングを3セットずつ行ったそうな(セット間の休憩は2分)。
で、それぞれの負荷がどれぐらいだったかと言いますと、
- 高負荷=1RMの80%
- 低負荷=1RMの30%
だったらしい(1RM の意味がわからない場合は「タンパ大学式筋トレ」をご参照ください)。
1RMの80%ってのは筋トレ界では定番の重量で、わたしもだいたいこれぐらいの負荷でやっております。いっぽうで1RMの30%ってのはかなり軽めで、精神的な負担はかなりラクな気がしますねぇ。
実験期間は12週間で、結果はズバリこうなりました。
- なんの違いもなし!
ってことで、負荷が高かろうが低かろうが、限界まで自分を追い込もうが追い込むまいが、全グループの筋力と筋肉量はほぼ同じように発達したそうな。うーん、ここまで全く違いが出ないとは……。
ってことで、どうやら1RMの30%ぐらいの軽い負荷でも、筋肉はちゃんと発達するみたい。これは軽い重量で回数をかせぐほうが好きな方には良いニュースですね。
もっとも、この実験は「ゆるい筋トレでもOK!」と言ってるわけじゃないので、その点はご注意ください。
論文には細かい記載がないんですが、引用されてる文献をみる限り、1RM30%のグループもRPEで9点ぐらいまでは自分を追い込んでるっぽいですからねぇ。それなりに厳しい筋トレをしてるのは間違いないです。
いずれにせよ、完全に筋肉を追い込まないほうが安全ですし、ちゃんと筋肉が育つのも間違いないようなんで、わたしは今後も「限界のちょい前で止める」ぐらいの筋トレでやってこうと思う次第です。