日本人の5人に1人を殺す「動脈硬化」にビタミンDが効くのかも?というメタ分析の話
というわけで、当ブログでは毎度おなじみなビタミンDに関するデータ(R)です。まず概要をざっくりまとめると、
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ビタミンDサプリで動脈硬化は改善するか?をチェックしたテスト9件をまとめたメタ分析になっている(そうサンプル数は918)
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試験の対象者ばビタミンDが足りてない患者さんがメイン(ビタミンD不足の定義は30ng/mL未満)
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1日1,111IU〜5,000IUのビタミンDサプリを2カ月〜12カ月間続けて飲んだ実験を扱っている
といった内容になっております。
ビタミンDと動脈硬化の関係はあまり聞いたことがないかもですけど、実は血管にもビタミンDの受容体が存在してまして、過去の研究でも、ビタミンDが足りない人は高血圧や心肥大が起きやすことがわかってるんですよ。サプリのなかでもビタミンDはコストがかからないもんで、動脈硬化のリスクを下げる手段としてはわりとお手ごろですしね。
でもって、結果がどうだったかと言いますと、
- いずれの試験でも、25(OH)D3から測定したビタミンD状態の上昇が認められた(要するに、血中のビタミンD濃度が増した)
- ビタミンDのサプリにより、脈波伝播速度が有意に低下した(SMD-0.29)(つまり、動脈硬化が改善した)
ってことで、予想どおりビタミンDには動脈硬化リスクを改善するパワーがあるっぽいですな。一説には、日本人の5人に1人は動脈硬化で命を落とすと言われてるんで、こりゃ重要な知見だと申せましょう。
もっとも、無闇にビタミンDさえ飲めばOKかと言えばそんなことはありませんで、サブグループ解析では以下の傾向が確認されております。
- サプリのおかげでビタミンD不足が欠乏が是正されないと意味がない(普通にビタミンDが足りてる人が飲んでも無意味)
- 少なくとも1日2,000IUのビタミンDを毎日飲まないと意味がない
- 少なくともビタミンDを最低でも4カ月間は飲み続けないと動脈壁硬化は改善されない
ここらへんは当たり前ですが、よく外出してて体内のビタミンDレベルが高い人だと、いくらサプリを飲んでも意味はないみたい。あくまで足りないのを補うときにだけ意味があるってことなんでご注意を。
あと、日本で売られてるサプリなんかだと、1日の摂取量が1,000IU(25μg)に設定されてるケースも多いんで、そこらへんもお気をつけください。気になる方は、とりあえず自分の体内ビタミンDレベルをチェックしてみてもいいかもですね。
ちなみに、あと気になるポイントとしましては、
- ビタミンDの効果には結構な個人差があった(I2=59%)
- 取り扱ってる研究の質は全体的にとても高い
ってのがありまして、一部に留保付きながらも、今回の結果はわりと信頼してもいいんじゃないかと思う次第です。
まぁ全体的に見ると、ビタミンDで効果は確認されたものの、そこまでメリットが大きいわけでもないんで、「動脈硬化が気になるなら絶対にビタミンDだ!」とは申しません。あくまでダイエットや運動をメインにしつつ、そのお供として使うならよろしいのではないでしょうか。どうぞよしなにー。