シンバイオティクスは風邪の予防になるのか?をガッツリ調べたメタ分析の話
https://yuchrszk.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html
「シンバイオティクスは風邪に効くのか?」を調べたメタ分析(R)が出ておりました。
シンバイオティクスって言葉を初めて聞いた方もおりましょうが、簡単に言えば、
- 腸内細菌とそのエサを一緒にとること
ぐらいの意味です。くわしくは「腸内環境をガッツリ良くする「シンバイオティクス」のススメ」をご覧いただければと思いますが、プロバイオティクス(腸内細菌)とプレバイオティクス(食物繊維など)を一緒にとろうって話であります。
で、昔から「プロバイオティクスは免疫システムに働いて風邪に効くのでは?」みたいな考え方があったんですが、果たしてここに食物繊維をくわえた場合の効果はどうなのか?ってとこを調べたわけですね。
これは先行研究から18件のデータを選び、10,443人の参加者を対象に「シンバイオティクスは風邪に効くか?」って問題について大きな結論を出してくれております。ほとんどの実験の期間は3~6ヵ月で、
- 乳酸菌
- ビフィズス菌
- ストレプトコッカス
といったプロバイオティクスを使用。さらにプレバイオティクスとしては、
を使ってる試験が多め。それぞれの使用法としては、
- プロバイオティクスは1日あたり1億〜3億5000万CFU、または100〜500億CFU
- プレバイオティクスは1日あたり200〜900mg、または2000-5500mg
みたいになってて、それぞれカプセルや錠剤などで摂取したみたい。全体的なデータの質はそんなに高くないんですけど、全体的な結論は参考になりましょう。
それでは、分析の結果がどうだったかと言いますと、
- プラシーボと比べて、シンバイオティクスは風邪の発生率を減らし(レート比:0.84; 95% CI: 0.73, 0.96)、風邪にかかる参加者の割合を16%減少させた(リスク比:0.84;95%CI:0.74, 0.95)
- ただし、シンバイオティクスのメリットは成人では有意差があったが、乳児および小児には効果がない可能性がある
ってことで、ざっくりと言えばシンバイオティクスは風邪に意味がありそう!といった結果が出たようであります。
まぁ今回のデータは、シンバイオティクスの効果を調べた初のメタ分析なんで、まだまだ余談は許さない感じかなーってもあります。とりあえず現時点で他のデータと比べてみると、
- 2015年にコクランが行なったメタ分析(12の試験と3720人のデータをふくむ)では、「上気道感染症の予防にはプロバイオティクスの方がプラセボよりも優れている!(かもしれない)」って結論が出ている(R)
- 23件のRCTと6,268人の小児・乳幼児を対象とした2016年のメタ分析(R)では、やはりプラセボよりも風邪の発症率がわずかに減る
みたいな先行研究もありまして、「プロバイオティクスはやはり使えるのかなー」って印象があるわけです。
もっとも、風邪のためにプロバイオティクスを飲むべきか?と言われれば判断が難しいところではあります。というのもプロバイオティクスによる風邪の発生率は95%信頼区間が0.73〜 0.96の範囲になってまして、うまくいけば27%の効果があるし、下手すりゃ4%の効果しかない可能性もあるもんですから。ムズいですねぇ。
まぁ食物繊維やらプロバイオティクスは日常的にとっておいて損はないんで、ヨーグルトでもいいしサプリでもいいし、「ついでに風邪の予防になればいいかー」ぐらいのノリで摂取するといいんじゃないでしょうか。