美男美女はつねにビジネスの世界で有利なわけでもないかもだ!みたいな研究の話
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美男美女は何かと有利!ってのは、主に経済学方面の研究で何度も確認されてる話。ルックスがよければ稼ぎがいいし就職にも有利だし頭がいいしモテるしで、とにかくうらやましいレポートが多いんですよ。
が、直近のデータ(R)では、「美男美女が常にビジネスの世界で勝つわけではない!(というか逆効果になることもある)」って結論になってておもしろかったです。
これは309人の大学生を対象にしたテストで、どんな実験デザインだったかと言いますと、
- 「架空のレストランで夕食をとるところを想像してくださいねー」とお願いする
- 研究者が用意したウェイターの写真を何枚か見てもらう
- 参加者には、ウェイターの見た目の魅力、予想される顧客満足度、サービスの質、その人にどれだけ親近感を持ったかを評価してもらう
みたいになってます。架空の設定なのがちょっと弱いところですが、とりあえずウェイターのルックスによって顧客はどんな気分になるのかを調べたわけっすね。
でもって、どんな結果が出たのかと言いますと、
- 男女を問わず、「心理的な距離が近い」と思われたウェイターほど高い評価を受け、サービスの質も高そうだと判断された
- 逆に、参加者がウェイターとの距離を感じてた場合、悪い評価を与える可能性が高くなった
- 「自分のルックスはイマイチだなー」と思っている人ほど、ウェイターと距離を感じやすい傾向があった
だったそうです。つまり、接客業においてもっとも大事なのは親近感であり、美男美女のスタッフは時に逆効果をもたらす可能性もあるのではないか、と。まぁあんまり美男美女の店員に給仕されたらなんか萎縮する気持ちもわかる気がしますな。
さらに、ここでは追加で2つの実験をやってまして、もうひとつは、
- 広州の空港で飛行機の搭乗待ちをしている237人に、「これから機内で客室乗務員から食事などのサービスを受けるところを想像してください」と持ちかける
- 続けて、研究チームが用意した「美男美女のCA」と「見た目が良くないCA」の顔写真を見てもらう
- どのCAのサービスが良さそうかを教えてもらう
みたいになっていて、こちらの結果は最初の研究とほぼ同じ。「自分はあんまイケてないなー」と感じてる人ほど、美男美女なCAと距離を感じ、「サービスの質は低いだろう」と感じる可能性が高かったんだそうな。ついでに、「美しさとスキルには関係がない!」と答えた参加者ほど、なぜか美男美女なCAのサービスを低品質と評価する傾向もあったそうで、なんかおもしろいもんですな。
で、ここまでは架空のシナリオをベースにした研究でしたが、3つ目では現実のシーンで調査が行われております。こちらのデザインは、
- 実際のショッピングモールに行き、そこで従業員からサービスを受けたお客さんに話を聞く
- 美男美女の従業員からサービスを受けた場合と、そうでない場合の印象を尋ねる
みたいになってます。そしてこの調査でもやっぱり結果は同じようなもんでして、
- 結局のところ、お客さんが感じるサービスの質は、従業員への「心理的な距離」がもっとも影響していた
- 自分の見た目に自信がない人は、美男美女のサービスを「ダメだ!」と評価する傾向があった
だったそうです。要するに「美男美女は一般人とのあいだに距離を作りやすい!」って話でして、これを見る限り、接客業においては美男美女よりも「共感を得られやすい人」の方が優位なのかなーって気もしますな。
そういえば、2017年に取り上げた研究では、「確かに美男美女は有利かもしれないけど、結局は性格の良さとか健康のほうが大事じゃない?」って結論になってまして、意外とルックスの優位性(いわゆるビューティプレミアム)ってのは万能ではないのかもですな。