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脳の改善に役立ちそうなデータいろいろ#1:プロバイオティクス、カシス、ビタミンD、マインドフルネス……etc

 

前回と同じく、「過去に類似の話を紹介したけど、さらに追試で効果が確認されたので無視するのももったいないケース」をまとめて取り上げてみるシリーズです。今回は「の改善に役立ちそうなデータ」を4つほど、すごーくざっくりとまとめてお送りしまーす。

 

 

プロバイオティクスで脳機能が改善?

腸と脳はつながっている!ということで、「プロバイオティクスは高齢者の脳機能の改善に役立つか?」を調べた論文(R)が出ておりました。最近は腸の健康が認知に影響するって話がよく出るんで、ありがたい実験ではないかと。

 

これは12週間のRCTで、65歳以上の男女63名を集めて、

 

  1. プロバイオティクスを飲む(ビフィズス菌系)
  2. プラセボ

 

のいずれかを指示したんだそうな。そのうえで、みんなの腸内フローラ、BDNF(経の細胞の成長を促進するタンパク質)、脳機能(様々な認知テストや感情テストを使用)を行ったら、

 

  • プロバイオティクスを飲んだグループは、腸内フローラの改善だけでなく、BDNFのレベルと認知機能が有意に改善した!

 

って結果が出たそうな。まぁ小規模なテストですし、過去には「腸内が正常な人がいくらプロバイオティクスを飲んでも無駄」ってな精度の高めな報告も出てますんで、普通に健康な若者でも同じ働きがあるかは不明であります。が、高齢になると腸内フローラも乱れがちなんで、ちょっと注意しとくといいかもっすな。

 

 

 

カシスで脳機能改善?

ちょい前に「カシスの力でスポーツのパフォーマンスが上がるかも?」って話がありましたけど、今度は「脳にも良いかも?」を思わせるデータ(R)が出ておりました。ブルーベリーやブラックベリーなどのベリー類と認知の改善を示唆するデータは昔から多いんで、確かにカシスに似たような働きがあってもおかしくないような気はするわけです。

 

こちらはランダム化のクロスオーバー試験でして、20人のラグビー選手を集めたうえで、

 

  1. カシスをベースにしたドリンクを飲む
  2. プラセボドリンクを飲む

 

のいずれかを7日間ほど続けて実践するように指示。10日以上のウォッシュアウト期間をはさんだら、飲み物を入れ替えたさらに7日間の経過をみたそうな。もちろん、カシスジュースとプラセボドリンクのカロリーは同じであります。

 

 

が、カシスジュースのほうには、カシスエキスに加えて、リンゴジュース、クエン酸、カフェインレスの緑茶、テアニン、松樹皮エキスなどがふくまれていて、「うーん、これだとカシス単体の効果が判断できないな……」って感じであります。ここはちょっと残念。

 

 

その結果は、こんな感じでした。

 

  • カシスを飲んだグループは、注意力と精神的な柔軟性信頼性、リラックス度がやや優れていたが、精神的タフネス評価(MTQ)には変化がなかった

 

いちおうストロープ課題の成績は上がったみたいですが、これを見るとごくわずかな差なんで、カシスジュースを積極的に推奨できるレベルじゃないかなーってとこですかね。ポリフェノールが豊富なのは間違いないので、健康維持のために使うのはアリだとは思いますが。

 

 

 

ビタミンDで高齢者の脳機能が維持される?

高齢者の認知機能にビタミンDが効くかも?って話は昔からありまして、そのへんを調べたデータ(R)が出ておりました。

 

 

これは太りぎみな女性42人(58 ± 6歳)を1年にわたって調査したRCTで、みんなに健康的なライフスタイルを実践するためのカウンセリングを受けてもらったあと、

 

  1. 600 IU
  2. 2,000 IU
  3. 4,000 IU

 

って3つのパターンでビタミンD3を毎日飲むように指示したらしい。そこで定期的に脳機能のテストを行ったら、結果はこんな感じでした。

 

  • 1日あたり2,000IUのビタミンDを摂取したグループは、視覚およびワーキングメモリと学習テストで最高のパフォーマンスを示した
  • 逆に、1日4,000 IUのビタミンDを摂取したグループは、もっとも認知の反応スピードが遅くなっていた

 

ということで、やはり歳をとるとビタミンDは大事なのかもですが、一方で取りすぎもよくないのでは?って印象ですね。実際のところ、過去のデータ(R)でも大量のビタミンDを飲んだ高齢者は骨折のリスクが高まったなんて報告が出てますんで、そこは注意した方が良さそうですねー。

 

 

マインドフルネスが認知症に効く

認知症のケアって本当に難しいんですけど、「マインドフルネスが意外と有望かも?」というメタ分析(R)が出ておりました。簡単に内容をまとめると、

 

  • 認知症とマインドフルネスに関する過去研究から9件をピックアップ
  • サンプルは認知症の患者さんが271人で、その介護者が27人
  • 患者さんと介護者の方々が抱えるうつ病、不安、ストレスの問題にマインドフルネスが効くかを調べている

 

みたいになります。マインドフルネスの取り入れ方はいろいろで、瞑想ヨガ呼吸法などが使われてますね。

 

 

でもって、その結果は、

 

  • マインドフルネス系のセラピーは、すべての研究で一貫して、患者と介護者の抑うつ症状を減少させていた
  • ただし、不安、ストレス、生活の質のレベルは有意には改善していなかった

 

だったそうです。マインドフルネスが不安とストレスと相関しないのはちょっと驚きですけど、ここらへんはいろんな手法をまとめて分析してるのが関係してる気もしますね。

 

 

また、ここで扱われたデータはいずれも質が高くはないので取り扱い注意なんですけど、とりあえずマインドフルネスなら目立った副作用もないでしょうし、お悩みの方は試す価値があるんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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