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なぜスマホ通知は集中力を破壊するのか?最新研究で見えた3つの原因

   


気づけば無意識にチェックしちゃうのが「スマホの通知」であります。人間の脳は「新しい情報」に強く反応するようにできてますんで、通知音やバッジが表示されれば、ついスマホを確認したくなっちゃうのは当然でしょう。

 

が、ここで問題になるのが、「通知を見た後で集中が切れちゃった…」みたいな経験であります。たとえば、仕事中にちょっとLINEを確認しただけなのに、そのあと5分ぐらいボーッとしてしまったり、元の作業に戻るまでにやたら時間がかかってしまったり、気づけば別のアプリを開いてダラダラとスクロールしてしまう……みたいな感じっすね。

 

で、新たに出た研究(R)では、そんな日常の“あるある”を調べてくれてまして、「スマホの通知はどれくらい集中力を壊すのか?」という問題をガッツリと調べてくれております。

 

これは大学生180人を対象にした実験でして、集中力を測るために「ストループ課題」という定番のテストを使っております。これがどういうものかというと、

 

  • 「青」という文字が赤色で表示される
  • そのとき“文字の意味”ではなく“色”を答える

 

みたいな感じで、だいぶ脳に負荷がかかるタスクになってまして、集中力と認知コントロール(注意を制御する力)を測るためによく使われるんですな。

 

で、この課題の最中に、スマホ風の通知を出してみたところ、

 

  • 通知が出るたびに処理速度が約7秒低下!
  • 特に「自分宛の通知」が来たときに、集中力へのダメージが大きかった!

 

という結果が出たんだそうな。つまり、私たちは通知に触れるたびに人生の7秒を無駄にしているのではないか、と。

 

この「7秒」をどう考えるべきかは難しいところですが、一説には「人は1日に平均100回以上通知を受ける」とも言われてまして、そう考えると「7秒 × 100回 = 700秒」ってことで、通知だけで毎日12分ぐらいは集中を破壊されている可能性があるってことになりますか。この数値を多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれですけども、個人的には「チリも積もればだなぁ……」とか思ったりしました。

 

でもって、さらにこの研究では、私たちがそこまで通知を気にする理由をちゃんと分解しているのが面白いところです。ざっくりまとめると、研究チームは3つの原因を挙げてまして、

 

  1. 視覚的インパクト(パッと出るやつ):突然ポップアップが出ると、それだけで注意が持っていかれるのが大きい。これは「知覚的顕著性」と呼ばれる現象で、人間の脳は“動くもの・変化するもの”に自動で反応するようにできている。

  2. 条件付け(クセになってる):「通知を見たら何か面白いことがある」という学習が積み重なると、私たちの脳は「とりあえず確認したくなる」状態になる。いわゆるドーパミンループ。

  3. 個人的な意味(これが一番強い):脳は「自分宛の通知だ!」と思うと、そちらにより意識を向けるため、集中力の低下が最大になってしまう。

 

ってあたりが問題視されておりました。要するに、通知は単なる「音」や「表示」ではなく、私たちの注意システムそのものに働きかけてくる感じなんすね。

 

さらに、この研究では、スマホの使用データも3週間分チェックしているんですが、ここでは以下のような結果も出ております。

 

  • 総スクリーンタイム(スマホを見続けている時間の量)が、集中力に与える影響は弱い

  • 通知の数・チェック頻度は、集中力に与える影響が強い

 

ここから何がわかるかというと、つまり「長時間スマホを使う」よりも「細切れに何度もスマホを見る」ほうがヤバいって話ですな。これは、体感的にも納得じゃないでしょうか。

 

じゃあどうすればいいのか?ってことですが、別に研究チームも「通知は全部切れ!」みたいなことまでは言っておりません。実際には、以下のポイントぐらいを押さえておくのが現実的でしょう。

 

  1. 通知を“まとめる”:SNSやニュースの通知はオフにし、必要なものだけ残す(仕事・家族など)。

  2. チェック時間を決める:「1時間に1回だけ見る」などルール化し、それ以外は物理的に見ない。

  3. 作業中は“視界から消す”:スマホを裏返すか別の部屋へ置き、PC通知もオフにする。

  4. 「重要度」で仕分け:即対応が必要なものだけONにしておき、どうでもいいものはOFFにする。

 

おそらく、この4つだけでもかなり集中力は回復しますんで、お困りの方は試しておいてくださいませ。

 

ということで、今回の研究を一言でまとめると、「テクノロジーの問題は『使いすぎ』ではなく『分断されすぎ』にあり!」って感じになります。スマホを見ることそのものが悪いって話ではなく、大量の通知によってそのたびに集中力がぶった切られることにより、深い思考に入る前に注意がリセットされ続けてしまうのが最大の問題だってことですね。逆に言えば、通知とのつきあい方をちょっと変えるだけで生産性がドカンと上がる可能性もありますんで、やってみない手はないでしょうな。

 

私自身も通知はかなり削ってまして、体感的にも「思考の深さ」がまるで違います。このあたり、まだ最適化の余地がある人は多いはずなので、一度見直してみるとよろしいかと思います。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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