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筋トレの気合いは「叫ぶ vs 静かに集中」どっちが正解か?みたいな研究の話

   


筋トレの世界では、昔から「気合い入れてやるか?それとも、落ち着いてやるか?」というマイナーな悩みがあるわけです。たとえば、筋トレをするときに、

 

  • 大声で叫びながら挙げるタイプ
  • 静かに集中して挙げるタイプ

 

って2パターンがいまして、どちらとも「俺のやり方のほうが力が出る!」と主張してるんですよ。私はシンプルに「声を出して筋トレするの恥ずかしい」派なので、静かにしかやってませんが。

 

で、近ごろ、この問題に良いヒントをくれる研究(R)が出てまして、今回はその内容をベースに「筋トレにおける正しい気合いの入れ方」を考えてみましょう。

 

この研究は、200人以上のトレーニング経験者を対象にしたもので、みんなに90%1RMのデッドリフトをやってもらったんですが、その際に、

 

  • 「気合いあり」と「気合いなし」でどんな違いが出るか?

 

ってのを比べております。ここで言う「気合い」の種類はいろいろで、ある人はバーベルを上げる際に大声を出し、またある人はテンションが高まる音楽を流し、なかにはアンモニアの匂いをかぐ人もいたそうで、とにかく気分が高まるならどんな手法でもいいわけですな。なかなか実践的なデザインでよろしいですね。

 

そこで、結果がどんなもんだったかと言いますと、

 

  • 気合いを入れたほうが、バー速度が平均0.05m/sアップした

 

ということで、気合いを入れながらやった際には、動作スピードが約18%ほど向上したわけですね。なので、これを見る限りは「とりあえず気合いは入れたほうがいい」という結論になるんでしょう。ここはあんま迷う余地がなさそうっすね。

 

ただし、だからといって「みんなでジムで叫ぼうぜ!」って話にはならないところが面白いところで、このデータでは、

 

  • 気合いによって筋トレの効果が出るかどうかは、性格の違いによる!

 

ってのも確認されてるんですよ。この研究で一番重要なポイントはここでして、研究チームが参加者の性格特性を測定してみたところ、

 

  • 攻撃性が高い & 不安に強い人は、覚醒系(叫ぶ・テンション上げる)を選びやすく、それによって効果を得やすい。
  • 攻撃性が低い & 不安に敏感な人は、鎮静系(集中・ルーティン)を選びやすく、それによって効果を得やすい。

 

って傾向が見られたんだそうな。結局のところ、気合いの正解は人によって違うってことですな。

 

しかも、どうやらみんな「自分に合った気合いの入れ方」を無意識に選んでいるそうで、この予測は82.5%の精度で当たっていたんだそうな。なので、あんまり悩まずに自分にとってしっくりくるやり方を選べば、それが正しい可能性が高いってことなんでしょう。なので、「トップ選手が叫んでるから、自分も叫ぶ!」みたいなやり方は、もしそれが自分の性格と合っていなかった場合は、逆に集中が乱れてパフォーマンスが落ちるかもしれませんな。

 

研究チームいわく、

 

自分に合わない方法を使うと、むしろパフォーマンスを損なう可能性がある。

 

という慎重なコメントをしてますんで、くれぐれも注意しておきたいところです。

 

ということで、ここから実践的な知見を引き出すのであれば、

 

  • まずは「自分のタイプ」を把握する。ざっくりでOKなので、自分が「イライラしやすい・闘争心強め」なのか、それとも「緊張しやすい・慎重タイプ」なのかを判断。もし自分が前者なら覚醒系の筋トレをしたほうがいいだろうし、後者なら鎮静系の筋トレをしたほうが、パフォーマンスを発揮しやすいはず。

 

  • この研究で使われた気合いのパターンは以下のとおりなんで、ここから自分に合ってそうなものを探すと吉。

  • 覚醒系(パワー型)※いきなり「絶叫」はやりすぎなので注意
    • 音楽を聴く(テンポ速め)
    • 軽く体を動かす(ジャンプ・歩き回る)
    • 短い自己暗示(「いける」「軽い」など)

  • 鎮静系(コントロール型)
    • 呼吸を整える(4秒吸って6秒吐く)
    • 動作のイメージ(バーの軌道など)
    • キューイング(「胸を張る」「脚で押す」など)

 

  • どちらも「やりすぎ」は逆効果で、覚醒しすぎるとフォームが崩壊しがちだし、落ち着きすぎると必要なパワーが出なくなっちゃうので注意。いわゆる「適度な覚醒レベル(最適覚醒)」が必要なのは、覚醒系でも鎮静系でも同じ。

 

みたいになるでしょうな。つまり、今回の話を一行でまとめると「気合いは必要だが、やり方は性格次第だ!」って感じになります。世の中には「これが最強のルーティン!」みたいな話をよく見かけますが、実際にはそんな万能解はなくて、

 

  • 自分に合う方法を見つける
  • それを再現性高く使う

 

という2つが大事なんですよね。私は昔からずっと陰キャなので、ずっと「静かに集中する派」でやっております。実際、私のような性格の人は、このほうがミスが減りますからね。というわけで、次に重い重量に挑むときは、「自分はどっちタイプか?」を一度考えてみてくださいませ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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