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人前で緊張せずに話すには、二人称で自分をはげませばいい


人前で緊張せずに話すには、二人称で自分をはげますといいよ!」っていう2014年の論文がおもしろかったのでメモ。


これは、被験者に人前でスピーチをさせたっていう実験なんですが、その際、5分の準備時間のあいだに以下の行動を取ってもらったそうな。


  • グループ1:一人称でひとりごとを言いながらスピーチの準備をする。「俺はなんでこんなに緊張してるんだ?」とか「俺はゆっくり話すぞ」とか。
  • グループ2:ニ人称でひとりごとを言いながらスピーチの準備をする。「君はなんでこんなに緊張してるんだ?」とか「君はゆっくり話すんだ」とか。


自分に詳細な指示を出すのは、心理学では昔から定番の方法でして、特に初めてのタスクを上手くこなすのに効果があると言われております。たとえば、運転を学ぶときなどは、「ここでサイドブレーキを引く」とか自分に言い聞かせると、何もしないよりも学習効果が高くなるんですな。


で、この実験の結果は、グループ2の圧勝。二人称を使ったほうがスピーチの出来もよかったし、スピーチが終わったあとも恥ずかしさに襲われたり、しくじったポイントを後悔することもなかったんだそうで。


思うに、これは「ストレスに打ち勝つための4つの「脱フュージョン」テクニック」で紹介した、脱フュージョンと同じ理屈なんじゃないかと。つまり、自分を「君」と呼ぶことで、自分を一歩引いた視点から見ることができるようになって、結果的に心に余裕ができるという話です。ここ数年の心理学研究は、自分を客観的に見ることの重要性にあらためてフォーカスが当たっていておもしろいですね。



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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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