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狩猟採集民は意外と長生きで健康寿命が長いんですよーという話

Bushman
こないだ「マサイ族は高脂肪食でも元気ですよー」という話を書いたところ、コメント欄でいくつかご意見をいただきました。ざっくりまとめると、

  • 狩猟採集民の平均寿命は45才しかないのに本当に健康と言えるの?
  • マサイ族にガンや高血圧が少ないのは、高齢になる前に亡くなるからじゃないの?

といったところ。「狩猟採集民は短命じゃん!」ってのはパレオダイエットに関する定番の疑問でして、わたしもよく尋ねられたものです。


が、狩猟採集民が短命だという説は、実はもう9年も前に否定された古い話だったりします。そのへんの話は以前に軽く書いたんですが、大事なポイントなのでくわしくまとめておこうかと。



狩猟採集民のちゃんとしたデータを見てみよう!
狩猟採集民の寿命に関して有名なのは、2007年にカリフォルニア大から出た研究(1)です。これは1960〜1990年代に行われた狩猟採集民の寿命に関する膨大なデータを分析して、大きな結論を出したもの。つまり、現時点ではもっとも科学的に信頼できるデータなわけです。


その結果を見ると、まず目立つのが子どもたちの死亡率の高さ。ざっくりと平均値を紹介しますと、

  • 未開の狩猟採集民は、15才までに43%が死ぬ
  • やや近代化した狩猟採集民は、15才までに33%が死ぬ

といった感じ。これはマサイ族でも同じで、新生児のおよそ30%が生まれてすぐに死んでしまうそうな(2)。切ないですねぇ。


狩猟採集民の平均寿命が短い理由は感染症
子どもの死亡率が高い理由はシンプルで、感染症への抵抗力がないからであります。狩猟採集民が暮らす地域にはマラリアや肺炎の発生が多く、現代医療へのアクセスがないマサイ族などは高熱で子どもを失いやすいんですね。


つまり、狩猟採集民たちは肥満や糖尿病といった現代病にはかからない代わりに、昔ながらの感染症には弱いわけです。まぁ世界的にみれば今でも人間の死因の1位は感染症ですから、これも当然の結果かもしれません。


もうおわかりでしょうが、これが狩猟採集民たちの平均寿命を大きく下げる原因になっています。たとえば100人の村があったとして、そのうち50人が100才まで生きた場合でも、残りの50人がすぐに亡くなってしまえば平均寿命は50才ですからねぇ。狩猟採集民の健康レベルを平均寿命で判断するのは誤解をまねきやすいかと。



正しい狩猟採集民の平均寿命は68〜78歳
それでは感染症を生き延びた狩猟採集民は、実際にどこまで生きるのが普通なんでしょうか? 先のデータによれば、

  • 15才まで生きた狩猟採集民は、だいたい72才の近辺で死ぬことが多い
  • 高齢に達した狩猟採集民には、がんや高血圧などの発症率は非常に少ない
  • 子どもの死亡率を除いて計算し直すと、狩猟採集民の平均寿命は68〜78歳ぐらいになる

といった感じ。狩猟採集民=短命というイメージとは大きく異なる結果になっております。


もちろん、それでも先進国の平均寿命よりは短いんですが、その代わりに狩猟採集民たちは健康寿命が長いのがポイント。死ぬ直前まで糖尿や高血圧などに苦しまず、ピンピンコロリで逝けるわけですね。うらやましい話です。


まとめ
そんなわけで、狩猟採集民は意外と長生きなんだよーってお話でした。願わくば、現代医療と狩猟採集民の暮らしをうまく混ぜあわせて、楽しくやっていきたいもんです。
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41才のプロパレオダイエッター/編集者/ライター/NASM®公認パーソナルトレーナー。国内外の学術論文を読み漁るのが好きな人。パレオダイエットの本を書きました。