怒りがわいたときは心のなかで10まで数えろ!ってアドバイスを実践すると、逆に怒りが増しちゃう場合もあるよーという話
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/02/10.html
「怒りがわいたときは心のなかで10まで数えろ!」ってアドバイスがありますが、その効果は時と場合によりけりだって論文(1)が出ておりました。
これはニューヨーク州立大の実験で、312名の学生を対象にしたもの。まずは全員に「子ども時代に好きだったテレビ番組」ってお題でエッセイを書いてもらい、研究者に提出してもらったんですね。
その後、エッセイのクオリティとは無関係に、すべての参加者へ以下のコメントを返したらしい。
いままで読んだなかでも最低のエッセイだ。こんな意見を書くのはバカだけだろう。こんなバカが大学に入れたとは信じがたい。
こうして学生たちの怒りをかき立てたところで、全員に「ヒドいコメントをした研究者に復讐するチャンスをあげます」と提案。具体的には、自分を怒らせた研究者に対し、好きな時間だけ爆音のノイズを聴かせる罰ゲームをやらせあげるよ、と申し出たんだそうな。
その際、参加者を以下の4グループにわけたんですよ。
- 罰ゲームの時間を決める前に1から10までゆっくり数える
- 何も考えず、すぐに罰ゲームの時間を決める
- 罰ゲームの時間を決める前に1から10までゆっくり数える。ただし「相手に罰ゲームをさせた場合、自分も罰ゲームをさせられる可能性があります」と言われる
- 何も考えず、すぐに罰ゲームの時間を決める。ただし「相手に罰ゲームをさせた場合、自分も罰ゲームをさせられる可能性があります」と言われる
半分のグループは復讐のチャンスを与えられたいっぽうで、相手から報復されてしまう可能性も出てきたわけですね。
その結果はと言いますと、
- 「自分も罰ゲームを受ける可能性がある」と言われたグループは…
- 1から10まで数えたグループは怒りのレベルが低く、復讐罰ゲームの時間を短く設定した(平均で3.9分)
- すぐに罰ゲームの時間を決めたグループは、平均で6.6分の罰ゲームを設定した
- 「罰ゲームを受けるのは相手だけ」と言われたグループは…
- 1から10まで数えたグループは怒りのレベルが逆に上がり、復讐罰ゲームの時間を長く設定した(平均で8分)
- すぐに罰ゲームの時間を決めたグループは、平均で5.7分の罰ゲームを設定した
といった感じ。つまり、1から10まで数えれば冷静な判断ができるようになるんだけど、決してネガティブな感情が収まったわけじゃないんだ、と。自分が報復される可能性がない場合は、相手をさらに苦しめるような選択もしちゃうんですね。なんとも人間的であります。
そんなわけで、1から10まで数えるテクニックの効果は時と場合によるっぽい。もっとも現実の世界では、相手から絶対に報復されない状況なんてまずないので、だいたいの場面では有効だと考えてよさそうですが。