筋トレ初心者が短時間でラクに筋肉を増やすにはコンセントリックが最適説
筋トレの初心者にありがちな問題としてよく聞くのが、
- ハッキリ筋肉がつくまで時間がかかる
- 筋肉痛とかむくみが起きるせいでモチベーションが下がる
みたいなやつ。通常はちゃんと筋肉がつくまで8週間ぐらいは必要ですし(1)、慣れないうちは筋肉痛や水ぶくれも激しいしで、なんとなくモチベーションが続かなかったりとか。
なんだけど、新しい論文(2)では「4週間で筋肉痛ゼロのまま筋肉を増やせるよ!」って結論になってていい感じでした。これはNSCAが発表したもので、13人の筋トレ初心者を対象にしております。
彼らにどんな指示したかというと、
- コンセントリック収縮だけの筋トレをしてね!
って感じです。ご存じの方も多いでしょうが、筋トレのときの筋肉の使われ方には「コンセントリック」と「エキセントリック」の2つがありまして、
- コンセントリック:筋肉が縮むときの動作。ダンベルカールでダンベルを手前に上げていくときとか
- エキセントリック:筋肉が伸びるときの動作。ダンベルカールでダンベルを下げていくときとか
といったところ。で、一般的に筋トレ好きが支持するのはエキセントリックのほうなんですね。
というのも、エキセントリック収縮のほうが大きな力を出せるし速筋も多く使われるしで、1回のトレーニングで重いウェイトを使いやすいんですよ。おかげでデカい筋肉を作りやすいもんで、筋トレ歴が長い人ほどエキセントリックを重視しがち。
ただしエキセントリックにも弱点がありまして、コンセントリックにくらべて筋肉のダメージが激しくデカいんですね。詳細ははぶきますが、パワーを多く使うぶんだけ組織が壊れやすいのと、細胞への影響の差によるもの。基本的にコンセントリックでは筋肉痛は起きないんですな。
つまり、両者の差をまとめると、
- コンセントリック:パワーは出づらいが筋肉痛もなく、回復までの時間が短くてすむ
- エキセントリック:パワーはかせげるものの筋肉や神経のダメージがデカく、回復まで時間がかかる
って感じ。だいぶ一長一短がありまして、その点で、スポーツの世界などでは回復が速くてパフォーマンスが上がるコンセントリックのほうを重んじるケースも多かったり。目的に応じて使い分けてくといいわけですね。
さて、この実験でどんなトレーニングを使ったかと言いますと、
- 筋トレのペースは週2回で、ダンベルカールとショルダープレスをやる
- 1セットの回数は8〜12回で「もう筋肉が動かない!」レベルまでやる
- トレーニングの手順(ダンベルカールの場合)
- 参加者は普通にダンベルを上まであげる(コンセントリック)
- コンセントリック運動をしたら研究者にダンベルを手渡す
- ダンベルを持たない状態で腕をおろす
- 再び研究者がダンベルを渡す
- ダンベルを持った状態で再びコンセントリック
といったところです。ほぼ完全にエキセントリックの部分を取り除いて、どれだけの違いが出るかをチェックしたわけですな。
その後、8回目の筋トレが終わったあとで参加者の状態をチェックしたところ、
- 筋肉痛やむくみを起こした参加者はゼロだった
- みんな平均で3.5%ほど筋肉量が増加!
- 腕周りも0.31センチほど増えていた
って結果だったそうな。たった8回のコンセントリックトレーニングでも、目に見えるレベルで筋肉が増えるんだ、と。
研究者いわく、
筋トレをはじめたばかりの初心者は、エキセントリック収縮による筋肉の損傷がなくても、ちゃんと検出可能なレベルで筋肥大が起きた。
とのことで、筋トレ初心者にはかなり良い話じゃないでしょうか。
もっとも、普通に筋トレをする場面で研究者にダンベルを渡すわけにもいきませんが(笑)、やりようによってはエキセントリックの部分を減らすことは可能だったりします。たとえば、
- ダンベルカール:持ち上げたダンベルを下げるときに、あんま重力に逆らわずスッと落とす
- スクワット:上にあがるときはゆっくりと力を込め、しゃがむ運動は力を抜いてスッと体を下げる
みたいな感じですねー。基本的にはどのトレーニングでも同じで、エキセントリックのときだけ、ケガをしないレベルで力を抜けばOK。
もちろん今回はサンプル数が少ない実験ではありますが、2011年の調査(3)でも似たような結果が出てますし、エキセントリックと筋損傷の問題は昔から有名なので、まずは信じてもよいのではないかと。以上の話をまとめると、
- 初心者の場合、コンセントリック重視のトレーニングでも4週間で成果が出る
- ついでに、筋肉痛の辛さもかなりのレベルまで減らせる
ってところです。筋トレ初期のモチベーション維持などにお使いください。