「高負荷トレーニング VS. 普通の有酸素運動」メリットが大きいのはどっち?というメタ分析
高負荷トレーニングは痩せやすいのか?
当ブログでは、よく高負荷のトレーニングを推奨してるわけです。たとえば、HIITとかSITとかHITとかですね。名前が似ててややこしいですが、とりあえずどれも「ツラい運動を短時間やる!」ってところで共通しております。
ってところで、新しい論文(1)は「高負荷で短時間のトレーニングと中負荷で長時間のトレーニングはどっちが痩せる?」って問題を徹底的に調べてくれてていい感じでした。
これは過去に行われた実験から、HIITとSITとダイエットに関するデータを28件ほど選んで精査したもの。837人の男女を対象にしたメタ分析になっていて、よろしいのではないでしょうか。
HIIT&SITと普通の有酸素運動をくらべた
ここで比較にあげられたエクササイズ法は3つで、だいたい以下のような定義になっております。
- HIIT(高強度インターバルトレーニング):最大酸素摂取量の80〜100%ぐらいのツラい負荷の運動を60〜240秒ほど行い、そのあいだに何度か休憩をはさむ
- SIT(スプリントインターバルトレーニング):最大酸素摂取量の100%ぐらいの超ツラい運動を1セット8〜30秒ほど行い、そのあいだに何度か休憩をはさむ
- MICT(中負荷の持続的なトレーニング):最大酸素摂取量の40〜59%ぐらいの負荷の軽い運動を20〜60分ほどつつけて行う
多くの実験で使われたトレーニング法はスプリントとサイクリングの2種類で、実験期間の平均は12週間。それぞれ、エクササイズによる消費カロリーは同等に調整されたうえで、どの手法がもっとも体脂肪が減ったかをみております。
「カロリーを合わせたら痩せ方は同じじゃないの?」と思うかもですが、HIITとかSITは「筋肉がつきやすい」や「ホルモンバランスが云々」とか言われていて、そのぶんダイエットに有利なんじゃないの?とも考えられてるんですな。これは大事なポイントだと申せましょう。
消費カロリーが同じなら痩せ方も同じという当然の結論
で、結果がどうだったかと言いますと、
- どのエクササイズ法だろうが体重の減り方は同じ!
- 男女の差も、年齢の差も関係なく、どちらもカロリーが減った分だけ痩せる!
という非常に当たり前の結論だったそうな。具体的な数字でいうと、どのグループもだいたい1.26 〜 1.48 %,の範囲で体脂肪が減り、体重は0.91〜1.38kgの範囲で数字が減ってたとか。いやー、12週間の成果としては非常に切ない結果ですねぇ。
ただしHIIT&SIT系は体内の老化防止効果が高い
というわけで、ダイエット効果に関してはHIITも普通の運動も差はなさげなんですが、もうひとつおもしろいのが2015年に行われたメタ分析(2)であります。こちらは過去に行われたエクササイズ研究から162件を精査して、「高負荷トレーニングと普通の有酸素運動の違いとは?」を調べたもの。負荷の定義は、上で紹介したメタ分析とだいたい同じです。
それでなにがわかったかというと、
- HIIT系のトレーニングは普通の有酸素運動にくらべて……
- インスリンを減らしやすい!
- 血中の脂質を改善しやすい!
- 体内の炎症マーカーを減らしやすい!
って結果だったんですな。簡単にいえば、体内の老化を防ぐ効果は高負荷トレーニングのほうが大きいわけっすね。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめると、
- ダイエットが目的の場合:時間がないならHIITまたはSITを。ツラい運動が嫌な場合は、普通の有酸素運動をどうぞ
- 健康レベルを改善したい場合:HIITまたはSITをどうぞ
といったところです。まー、最初のメタ分析を見ると、12週間で最大でも1.5kgぐらいしか減ってないので、そもそも「運動でダイエットしようと思うな!」という「パレオダイエットの教科書」で書いた問題に突き当たる気もしますが……。