このブログを検索

1,114人のCEOを調べてわかった「業績を上げやすい」リーダーの条件とは?

Leader

 

 理想の社長について調べてみた

理想の社長ってどんな人?」みたいな 研究(1)がおもしろかったんでメモしときます。

 

 

これはロンドン大学のリサーチで、6カ国から1,114人のCEOに協力を得て、「いつもどんな風に時間を使ってるの?」とか「どんな風に働いてるの?」ってあたりを尋ねまくったもの。まずは全員の1週間の仕事ぶりをくわしく聞いたうえで、そのデータを機械学習にかけて、どの行動がもっとも重要なのかをチェックしてったんですね。



 社長はどんな風に過ごしているのか

で、まずは各CEOがどんな風に働いてたかと申しますと、

 

  • 25%は、日中は1人で過ごしつつメール処理などをしてた
  • 10%は個人の用事にほとんどの時間を使ってた
  • 8%は旅行してた
  • 残りの56%は、たいてい1人の人間となんらかの仕事(会議とか)をこなしてた

 

って感じ。CEOと言ってもつねに大勢といるわけじゃなく、だいたいは1人か2人ぐらいで時間を過ごしてるんだ、と。そりゃそうでしょうな。

 

 

では、さらにCEOたちが普段はどんな人と働いてるかと言うと、

 

  • 35%の時間を生産部門に使う
  • 22%の時間はマーケティング部門
  • 17%の時間はファイナンス部門
  • 10%が外部のクライアント
  • 7%は供給業者

 

ってことなんですけど、これについては個人差がデカすぎて、あんま平均値を見ても意味がないかも。

 

 

社長の運営スタイルがもっとも企業収益を左右していた

さて、以上をふまえたうえで、機械学習からどんな答えが出たかと言いますと、

 

  • CEOが「マネージャー」タイプか「リーダー」タイプかが重要!

 

だったんだそうな。ざっくり両者の違いを説明しますと、

 

  • マネージャー:生産部門をひんぱんに訪ねたり、サプライチェーンを視察したり、クライエントや供給業者とミーティングしたり、みたいなタイプ。
  • リーダー:「最高○○責任者」系の人間とのやりとりが多く、会社のシステムや運営形態に関する計画やミーティングが多いタイプ。

 

って感じです。簡単に言えば、マネージャーは細部にこだわるタイプで、リーダーは大局を見るタイプ、みたいなとこですかね。

 

 

では、この区分けがどれだけ企業の収益に影響するかと言えば、

 

  • マネージャーよりリーダータイプのCEOのほうが、企業はより生産的で収入も増える!
  • CEOのタイプの違いによる収益への影響度はだいたい20%ぐらい!

 

だったそうな。全体の収益の20%に影響って、かなりデカいような気がしますなぁ。

 

 

リーダータイプのCEOは3年で収益を上げる可能性が高い

というと、当然ながら「リーダータイプのほうが収益がいい会社のCEOになりやすいだけじゃないの?」っていう因果関係の疑問が出てきましょうが、このリサーチでは、そのへんの問題も考慮に入っております。具体的には、各タイプのリーダーが就任した前後の企業収益をくらべたんですね。

 

 

その結果はやっぱり同じで、リーダータイプのCEOが就任した場合は、その企業の収益はおよそ3年で伸びる可能性が高かったんですな。おもしろいもんです。

 

 

運営スタイルの効果は企業規模にもよる

ただ、この結果は必ずしも「リーダータイプのほうがつねに最強!」ってわけでもないのでご注意ください。すごーく雑にわけると、

 

  • デカい企業であるほどリーダータイプは有利
  • 規模が小さい企業の場合はマネージャータイプのほうが有利なこともある

 

って傾向も出てたりします。研究者いわく、

 

リーダータイプのCEOはビジョンを作り、企業を動かすカギとなる機能を固め、より上の人間と効率的なコミュニケーションを行う。これは会社のパフォーマンスに大きな影響をあたえるだろう。

 

ただし、今回の研究で同じぐらい大事なのは、CEOの運営スタイルが、その企業が本当に求めるものにフィットしているかだ。

 

とのこと。基本的にはリーダータイプのほうがいいんだけど、どれぐらい会社にフィットするかも重要だよー、という当たり前の話っすね。具体的に、どれぐらいの企業規模が境目になるかはわからんのですが、企業を見るときの参考にはなりそうであります。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。