気分の上がり下がりに悩む730人を12年間追いかけたら何がわかったか?
急にテンションが上がったり下がったり
日本にも双極性障害にお悩みの人は結構いらっしゃるわけです。
これは、躁状態と鬱状態を行ったり来たりする状態で、急にテンションが上がって金を使いまくったかと思えば、次の瞬間には激しく落ち込んじゃったりとか。これを自分でコントロールできないもんで、みんな困っちゃうわけです。
いまのところ双極性障害の原因は不明で、「食事のせい?」とか「遺伝では?」とかいろいろ言われてる状態。とにかく原因になりそうなものがありすぎて、どう考えていいかわからないんですな。
双極性障害の患者さんを追跡調査した
ってところで、新しく出た論文(1)では「気分の上がり下がりが激しすぎる人は何が違うのか?」をていねいに調べてて勉強になりました。
これはミシガン州立大学の研究で、1,100人を対象にしたもの。全員を定期的にテストして、日々の感情、人生の体験、食事、気性、睡眠の質なんかを12年にわたってチェックしていったんだそうな。
そのうち730人は双極性障害を患っていて、残りの277人のメンタルは健康だったとのこと。とにかくいろんな要素をチェックして、なにがメンタルの悪化に関係してるのかを特定しようと試みたわけっすな。
そこで何がわかったかというと、
病気の発症には様々な原因があり、たいていは多くの原因がからみあっている。そこには生物学的なメカニズムもはたらいているし、多くの外的な要因も影響している。すべての要素が重なりあって、患者が体験するような症状を作り上げるのだ。
とのこと。双極性障害ってのは、あまりにもいろんな要素が重なった現象なので、「これが原因だ!」とはとても言えないんだ、と。そりゃそうでしょうな。
双極性障害の患者さんは飽和脂肪が多くて腸内細菌が少ない
といっても、双極性障害に悩む人にはある程度の共通点がありまして、具体的にはこんな感じ。
- メンタルが健康な人に比べて頭痛の発生率が3.5倍も大きい。同時に、摂食障害、不安障害、アルコール依存、メタボに苦しむ確率も高い。
- 子どものころに何らかのトラウマを受けたケースが多い。その結果、セルフコントロール能力や集中力が損なわれてしまった人も少なくない。
- 普段の食事で飽和脂肪酸を摂る量が多い(つまり、肉や乳製品を食べていることが多い)。また、血中の飽和脂肪酸が多い人ほど症状が重い傾向があることが確認された。
- メンタルが健康な人に比べて腸内細菌の種類が少ない。
- 睡眠の質は全体的に悪い。
- 記憶力、実行機能、運動機能なども全体的に低い傾向がある。
ってことで、子供ころのトラウマはすぐに解決が難しいものの、そのほかの「食事の脂肪」や「睡眠」「腸内環境」などはパレオダイエットのガイドラインである程度は対処できそうな感じであります。
データによれば、このなかではやはり「睡眠」がもっとも重要な要素なんだそうで、やっぱりそうかーみたいな印象でありました。取り急ぎ、気分の浮き沈みにお悩みの方は、「睡眠改善チェックリスト」などを参考にしつつ、眠りの質を徹底的に上げていただければと存じます。