今週の小ネタ:マインドフルネスと記憶改善、ダークパーソナリティの共通点
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ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
マインドフルネスで記憶が改善するかも
まずはハーバード医科大などの研究(1)で、「瞑想で記憶力が上がるかもよ!」って結論のデータを。これは79人の参加者を対象にした試験で、マインドフルネスと順行干渉の問題について調べてくれております。
順行干渉ってのは耳慣れない言葉かもですが、これは過去の記憶のせいで新しいことが頭に残りにくくなる現象です。英単語を覚えようとしたら、ひとつ前に記憶した単語のせいで、後に手をつけた言葉が残りにくくなる、みたいなことですね。
実験では、参加者を2グループに分けております。
- オンラインのマインドフルネスコースに参加
- 文章力アップのオンラインコースに参加
どちらも期間は4週間で、マインドフルネスコースの概要は以下のような感じ。
- 最初の2週間は、呼吸に集中する定番の瞑想法を訓練する
- 残りの2週間は、オープンモニタリング瞑想を訓練する
いっぽうで文章力アップグループは、
- お題となる写真やテキストをわたされて、それについてショートエッセイを書く
みたいな感じだったらしい。でもって、あとでみんなに記憶力テストを行ったところ、
- マインドフルネスグループは、順行干渉が起こりにくくなった!
- ついでに、海馬のボリュームも向上していた!
って違いが出たんですよ。順行干渉はワーキングメモリの性能と大きく関係しているんで、おそらくは短期記憶が改善したのだろう、と考えられるわけです。
研究者いわく、
何か新しいことを学ぶときは、過去の記憶にジャマをされがちだ。その意味で、マインドフルネスが記憶を改善するのは理にかなっている。現在に集中するのがマインドフルネスのコアコンセプトだからだ。
とのこと。マインドフルネスで「いまここ」に意識を向けたおかげで、過去の記憶の影響を受けにくくなるのではないか、と。確かにありそうな話ですねぇ。
まぁ、マインドフルネスと記憶の研究はスタートしたばかりなので、果たして追試で似たような成果が出るかは謎ではあります。とりあえず、不安やストレス対策のおまけぐらいに考えておくといいかもですねー。
ダークパーソナリティの共通点
次はウルム大学の論文(2)でして、まずは大まかな結論からどうぞ。ヒトが持つ悪いパーソナリティには共通点がある。彼らの行動は、すべて同じ特性の表現なのだ。
ある人にとっては、この特性がナルシシズムとして現れるし、また別の人にはサイコパスとして現れる。または、その2つが合わさったものになるかもしれない。
しかし、今回の研究でその共通点がわかったため、私たちは”問題がある人”を簡単に見抜けるようになるかもしれない。
自己中心的、常に敵意がある、非モラル的など、特定のダークなパーソナリティを持つ人は必ずいるもの。しかし、そのダークパーソナリティに一貫して同じポイントがあるんだって話ですね。
これは約2500人の男女を対象にしたテストで、みんなに以下のような文章にどれだけ賛成するかを尋ねたんですよ。
- 「誰かが罰せられているのを見ると、自分も少し罰せられているような気分になる」
- 「みなが『あなたはすごい』と言ってくるので、自分は特別な人間だと思う」
その上で全員に性格テストを行って、それぞれのナルシシズムやサイコパス、マキャベリズム、自己中心性、サディズムなどをチェック。そのうえで、全員に共通する特性は何か?ってとこを見たんですよ。
その結果は、
- ヤバい人は「他人の権利や感情をふみにじっても自分を優先する!」って点で共通している!
だったんですね。というと当たり前のような気もしてきますが、たとえばナルシストといってもヤバいナルシストと役立つナルシストがあるわけですし、サイコパスも害のあるサイコパスと良いサイコパスに分かれますからねぇ。
その点を見極めるうえでは、「この人はどれぐらい自分ファーストなんだろう……」って視点は十分に役立つだろうと思うわけです。