高血圧には結局のところ運動しかないぞ!というネットワークメタ分析の話
ご存じのとおり、高血圧は心疾患の死亡リスクを高める大きな要因のひとつ。放置するとどんどん血管が痛んでいきまして、どうしても早期死亡率が上がっちゃうんですよね。
で、高血圧を治療する薬もいろいろ出てますけど、それなりに副作用もありますんで、できる限り使わないのが吉。ナチュラルな方法で改善できれば、それに越したことはないわけです。
といったところで、まず筆頭の対策として考えられるのがエクササイズです。食事や睡眠の改善も重要ではあるものの、過去の研究なんかを見てると「結局は運動しかないかなー」って結論に落ち着くわけです。
では、具体的にどれぐらい運動が高血圧に効くか?ってとこが気になりますけど、そこらへんをガッツリ調べてくれたメタ分析が出ておりました。これは、血圧と運動に関するデータをまとめたもので、おもに以下のポイントをチェックしてます。
- エクササイズと薬はどっちが血圧に効くのか?
- 筋トレ、持久運動、アイソメトリック運動のうち、どれがもっとも血圧に効くのか?
- もっとも血圧のコントロールに効く運動の時間はどれぐらいか?
というわけで、なかなかありそうで無かったタイプの実験で、非常によろしいのではないでしょうか。
それで、どのようなことがわかったかと言いますと、
- どんなタイプのエクササイズでも、専門の薬と同じぐらい血圧を下げる効果がある(だいたい9mmHg前後)
- エクササイズのメリットは、血圧が高い人ほど得られる(≥ 140 mmHg)
みたいになってまして、ランニングだろうが筋トレだろうがプランクだろうが、どんなエクササイズでも薬に匹敵するレベルの効果を得られるみたい。これは試さない手はないと申しますか。
ちなみに、現時点で不確定なポイントを申し上げますと、
- データが少なすぎるので、現時点では「週に何回の運動をすればOK」とか「どれぐらいエクササイズを続ければいいのか」などの答えは出せない
- エクササイズの負荷と血圧の改善効果に相関はなかったが、これもやはりデータが不十分なのが原因である
- 薬の治療にエクササイズを組み合わせたらどうなるかもよくわからないが、いくつかのトライアルでは「複合的にやったほうが改善レベルが高い」との結果が出ている
みたいになってまして、「高血圧に効くエクササイズはこれだ!」みたいな結論を出すのは難しいところではあります。
なので、いまの段階では、ACCやAHAが推奨している「週に90〜150分の有酸素運動または筋トレをしようぜ!」ってのが目安になりましょう。いずれにせよ、どんな運動でも薬と同じレベルの効果があるって知識を押さえておくと、モチベーションの増加につながっていいんじゃないかと。